「見ぬふり」か「ひとごと」か ―生活保護は憲法25条の権利

    2017/01/20

     小田原市の生活保護の担当職員が「保護なめんな」などの文字をプリントしたジャンパーを着用して職務にあたり、生活保護家庭への訪問時に着用していた、という事件は、幹部の謝罪の記者会見で、ニュースになったが、驚くのは、こんなことが職場ぐるみで行われていて、「見ぬふり」だったのか「ひとごと」だったのか、誰も文句を言わなかったことだ。
     ジャンバーは、胸のエンブレムに「HOGO NAMENNA(保護なめんな)」や、×印がついた「悪」の字があり、背中には「SHAT」(粉砕)「SHAT」の文字。TBSによると、これは「生活保護悪撲滅チーム」の頭文字だそうだ。そして、英文で「私たちは正義。不正を見つけたら追及し、罰する。私たちをだまして不正によって利益を得ようとするなら、彼らはくずだ」などと書かれている。1着4400円、これまで職員64人分が作られたという。市は幹部7人を厳重注意にした、というが、とてもそれで済ませられる話ではない。
     2007年からだというから約10年。そもそも、当時の係長が「率先」したのではないかもしれないが、、説明できる程度には加わって作ったというのだが、「ちょっとまずいんじゃないか?」と疑問を提出したメンバーはいなかったのだろうか? そのあと、新人や異動で新しく来た人はどう感じたのか、考えたのか?
     しかも、生活保護についての説明では、もっとひどいのが改善されたのだそうだが、いまでもすぐ出てくるのは、「生活保護よりも民法上の扶養義務(特に親子・兄弟間)の方が優先されますので、ご親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受けてください」などと強調している。とても「憲法25条の生存権にもとづく国民の権利」だという視点はない。
     こんな妨害にもかかわらず、生活保護受給者はどんどん増えている。昨年10月の生活保護人員は214万4759人、保護世帯は163万7866世帯。特に、高齢者世帯の数が増加が目立っている。いま、年金が追い付かない中で、ごく普通に生活していた人が生活保護に頼らなければならない状況が広がっている。
     この際、小田原をはじめ自治体の職員を中心に、「生活保護の受給は憲法上の権利。活用しよう」の教育と運動を広げたい。