元米海兵隊員の訴え

    2016/12/02

     バグダッドに着くやいなや、通報を基に民家の襲撃を繰り返した。ドアを爆破して中に入り無辜の市民を尋問する。「幼い女の子たちの叫び声がいまも耳から離れない。テロと戦うためにイラクに行った。けれども、私自身がテロ行為をしていた」――。
     米国の退役軍人らでつくる平和団体「ベテランズ・フォー・ピース(VFP)」のメンバーらがこの秋、来日ツアーを行った。広島や横浜、東京など各地をめぐり日本の市民らと交流した。冒頭の証言はかつて沖縄に駐留していた元海兵隊員、マイケル・ヘインズさん(40)のイラク戦争での体験を語ったものだ。
     沖縄の東村高江などにも訪れたヘインズさんは「沖縄にこれだけの米軍基地が集中し、辺野古で新基地建設が進んでいることはほとんどの米国人は知らない」と断言。南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に参加した自衛隊の「駆け付け警護」については「自衛隊の『最初の一発』で死者が出た場合、戦後70年余の日本の平和の伝統が崩れる。憲法9条は何としても守ってほしい」と訴えた。
     南スーダンへの派遣は、自衛隊の活動範囲を大きく広げた安全保障関連法に基づいている。私たちが日常生活に追われている間に、日本の平和がじわじわと崩れていく。
     現在はサンディエゴで農業を営むヘインズさんは言う。「きれいな水と食料の確保、そして太陽光などによる自然エネルギー中心の社会。これが実現できれば人々は争わなくても済む」と。市民がどのような政治や暮らしを望み、どう行動するかによって国の形は変わる。社会を変革するのは市民であることを忘れてはならない。