元慰安婦たちの願い

    2016/08/19

     女性たちの名誉回復を――。敗戦の日の前日の8月14日、慰安婦問題の解決を求める市民らが、東京でデモを行った。日韓合意に基づく支援事業として先月、設立された「和解・癒やし財団」に反対し、日本政府に対して被害者への謝罪と補償を求めた。
     岸田文雄外相は12日、政府予算から財団へすみやかに10億円を拠出する手続きを進めると発表した。ただし、「医療や介護関係といった使途を想定している」と述べるにとどまった。
     これに対して、日韓の市民らから反発の声が上がっている。「最も問題なのは、安倍首相の謝罪がないこと。被害を受けた女性たちは自身の尊厳を取り戻したいと望んでいる。安倍首相は訪韓して被害者と対面するべきだ」と支援者の一人は訴える。日本政府は、元慰安婦への賠償について1965年の日韓請求権協定で「解決済み」との態度を取り続け、「女性のためのアジア平和国民基金」(1995~2007年)はその妥協策。とはいえ当時は橋本首相のおわびの手紙が添えられ、「財団はむしろ後退した内容だ」という指摘がある。
     基金も財団も、当事者抜きで決めた「政治決着」。なぜ韓国の市民たちがソウルにある少女像の撤去を拒むのか、なぜこの問題がいつまでもくすぶり続けるのか。それは、当事者のことを第一に考えていないからだ。
     デモの当日は、韓国の故金学順(キム、ハクスン)さんが慰安婦の被害を名乗り出た日(1991年8月14日)からちょうど25年。この日を「日本軍『慰安婦』メモリアルデーとして国連の記念日に」と市民団体などが運動している。
     「二度と戦争をしてはならない」。これが、戦時中、性暴力の被害を受けたサバイバーたちの一番の願いであることを忘れてはならない。