危機にさらされる「憲法くん」

    2017/04/22

     〈へんなうわさを耳にしたんですけど、ほんとうですか。わたしがリストラされるかもしれない、というはなし。わたし、憲法くんが、いなくなってもいい、ということなのでしょうか〉
     芸人の松元ヒロさんのひとり芝居「憲法くん」が初演から来月で20年を迎える。松元さんが、前文と103条の細胞からなる「憲法くん」という人物になりきって、成立の経緯やその意義、憲法とその他の法律の違いなどをやさしい言葉で解説する。
     コント集団「ザ・ニュースペーパー」時代の1997年、5月の憲法記念日にちなんだイベントで初披露した。一回限りのつもりだったが、作家の井上ひさしさんに「感動した」と絶賛され、翌年に独立した以後も、あちこちで上演を続けてきた。
     その間、護憲派と改憲派がせめぎ合ってきたが、「第二次安倍政権になって、これまでにない危機感を抱く」と松元さんは話す。その理由の一つが「共謀罪」だ。
     トランプ政権となった米国では今月、米軍がシリア・アサド政権の空軍基地を巡航ミサイルで攻撃。さらに北朝鮮への外交圧力を強めるなど軍事的緊張感が高まっている。それに呼応するように日本では、計画の段階で組織犯罪を処罰できる「共謀罪」の要件を改めた「テロ等準備罪」の創設を盛り込む組織犯罪処罰法改正案が国会で審議入りした。ジャーナリストの金平茂紀さんは4月に東京であった日本ペンクラブ主催の集会で「まだやっていないことが取り締まりの対象になる。内面の自由、プライバシーが脅かされるどころか(権力側に)際限のないフリーハンドを与える監視社会ができあがる」と指摘した。
     松元さんがふんした「憲法くん」は最後にこう語る。〈わたしをどうするかは、みなさんが決めることです。わたしは、みなさんのわたし、なんですから〉
     この国の未来を決めるのは主権者である市民であることを忘れてはならない。