記者が質問できないと国が滅ぶ

    2018/06/16

     先日、韓国のドキュメンタリー映画『共犯者たち』の上映イベントに関わった。梅雨らしい雨模様の天気だったが、立教大学の会場に600人を超える人々が集まった。
     「共犯者」というのは、韓国で保守政権におもねったメディアの幹部たちを指す。韓国では、廬武鉉大統領までの民主政権の下では言論の自由が花開いたが、李明博・朴槿恵と続いた保守政権の時代に、報道機関は冬の時代を迎える。政府が放送局の社長人事に介入し、政府を批判する番組は打ち切られ、抵抗する制作者たちは異動か解雇。『共犯者たち』の監督であるチェ・スンホ氏も、韓国の公共放送の一つ、MBCの調査報道部にいたが、政府批判番組が名誉棄損で国から訴えられ、解雇された。彼らは「ニュース打破」というインターネットの独立メディアを立ち上げ、権力にへつらう経営陣を追いかけまわし、直撃インタビューを試みる。
     政権の御用放送と化した放送局では、放送労働者のストライキも展開される。一人のプロデューサーがスマホの自撮りで動画中継して「社長は出ていけ!」と叫ぶと、労組のメンバーも呼応して、みんなでスマホ中継を始める。「たたかっている人を一人にしてはならない」。労組委員長の言葉だ。
     この映画では、箴言のようなセリフがいくつも発せられる。命がけでたたかう者だからこその説得力がある言葉たちだ。
    「記録するだけでも意味がある」「暗黒の時代にも、私たちは沈黙しなかった」
    (政権の手先となったメディア関係者に向けて)「歴史を恐れなさい」
    (質問に答えない大統領に向けて)「記者が質問できないと国が滅びますよ」