週刊誌メディアを傷つける選挙妨害

    2016/07/29

     舛添知事の「カネ疑惑」で始まった東京都知事選挙が、出版社系週刊誌2誌の「スキャンダル報道」で汚されている。もともと「右寄り」と言われる「週刊文春」7月28日号と「週刊新潮」8月4日号の野党統一候補・鳥越俊太郎候補への「『淫行』疑惑」だ。
     「14年前、女子大生を別荘に連れて行き、無理やりキスした」という話。「…という」「…という」と、伝聞でつないだ記事で、鳥越氏は「事実無根」と否定し、弁護団は名誉棄損と選挙妨害で刑事告訴した。しかし、「新潮が取り上げなかった話を文春が拾った」と言われたら、「新潮」は昔の「証言記録」なるものを書いた。同誌は、当時話を聞いたが、「本人と男性が『やはり記事にしないでほしい』と強く希望したから」記事にしなかった、とする。そして、この号の発売当日、28日の「夕刊フジ」は、「鳥越KO寸前 今度は『新潮』が追い打ち」と大見出し。見事な「連係プレー」だ。
     本人は「事実無根」と否定し、両誌とも「何事もなかった」としており、告訴もした。少なくとも「淫行」は書きすぎで、選挙中に書かなければいけない話ではないだろう。
     大手紙に1面の3分の1を使った広告を載せ、電車の中づり広告で大宣伝。夕刊フジも呼応し、テレビが面白がって取り上げる。それだけで「効果」は十分だ。
     そんな中で、「争点」はどこかへ行ってしまう。例えば「憲法」。実は参院選を受けての選挙だけに、憲法は大きな争点だ。「憲法は時代の変化で変えるべきもの」と言い、「いったん現行の憲法を停止、廃止したうえで新しい憲法を作る」と主張する日本会議国会議員懇談会の副会長、小池百合子候補と、憲法問題では明確にものを言わない増田寛也候補と、「いま憲法に直すべきところは見当たらない。憲法改正には反対だ」と明確に言い切る鳥越俊太郎候補とは対照的。横田基地問題でも「オスプレイ配備反対」を言う鳥越候補に対し、「国政の問題」とする増田氏、「防衛に大切」とする小池候補とは対照的だ。
     また、話題の保育所問題では、「定員見直しなどの規制緩和で対処する」とする小池候補、「区長と話をして対応を考える」とする増田候補と、「ハコ物建設の予算を振り向け、対応する」という鳥越候補とは問題のつかみ方が違う。
     仮に、鳥越スキャンダルにいくらかの事実があったとして、それでは、改憲派のタカ派候補や、自民党べったりの官僚候補を選ぶか、「憲法に基づく都政」を目指す知事を選ぶか。国際都市東京はそれでいいのか。―都民にはいまそれが問われている。