インタビュー

直言57 元毎日新聞記者 西山太吉さん

西山太吉さん 情報操作に汚染されず真実の情報を

 沖縄返還(1972年)の日米交渉をめぐる密約問題が新たな段階に入った。当時の文書を開示するよう求めた沖縄密約情報公開訴訟の口頭弁論が12月1日、東京地裁であり、対米交渉に当たった吉野文六・元外務省アメリカ局長(91)が法廷で密約の存在を認め、「歴史をわい曲するのは国民の損失」と国の姿勢を批判した。密約を裏付ける文書を入手するなどして国家公務員法に問われた元毎日新聞の西山太吉さん(78)は、「国家情報が隠蔽され偽装されるということは、民主主義の侵害だ」と訴える。【明珍美紀】
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直言56 映画監督 羽田澄子さん

羽田澄子さん 戦争は止めることができる

 記録映画作家の羽田澄子さんが監督した最新作「嗚呼 満蒙開拓団」の自主上映が各地で広がっている。「痴呆性老人の世界」をはじめ福祉や労働問題など数多くの作品を手がけてきた羽田さんが初めて戦争問題に真正面から取り組んだ作品だ。「私自身、満州(現中国東北部)の出身ということもあり、実際に何があったのか、戦争になるとどういうことが起きるのか、当事者の声を記録しておきたかった」と言い、「この問題のドキュメンタリーをつくる最後のチャンスだと思った」と語る。【明珍美紀】
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直言55 聖路加国際病院理事長 日野原重明さん

日野原重明さん 戦争の真実を伝えて平和運動に参画

 97歳の現役医師、聖路加国際病院理事長の日野原重明さんが、「子どもたちに平和のメッセージを」と医業の傍ら小学校などを回り、「いのちの授業」を行っている。「正義の戦争なんてあり得ない。戦争の真実を話す。それが年配者である私の使命」と次世代への思いを語る。【明珍美紀】
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直言54 劇作家 ふじたあさやさん

ふじたあさやさん 横浜事件から私たちが学ぶもの

 戦時下最大の言論弾圧といわれる「横浜事件」の第4次再審請求の判決が3月30日に言い渡される。名誉回復と無罪を求め86年に開始された再審請求は、第3次請求で認められたものの、最高裁は08年3月、有罪か無罪かの判断をせずに「免訴」が確定。裁判は4次に引き継がれ、遺族らの闘いはなお続く。この事件で逮捕された元中央公論編集長の故藤田親昌さんを父に持つ劇作家のふじたあさやさん(74)は「投獄された人々は単に言論の自由を奪われただけでなく、人間不信という重い荷を背負うことになった。実はそこに権力側の思惑と狙いがあった」と語る。【明珍美紀】
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直言53 東京外語大教授 伊勢崎賢治さん

伊勢崎賢治さん 9条を使って世界の平和維持に貢献

 深刻な不況や貧困、環境破壊。米国が仕掛けた「対テロ戦」の傷口は広がり、混迷を深める世界情勢。米国のオバマ次期政権は、米軍の早期イラク撤退を打ち出すが、果たして世界は平和の道に向かうのか。シエラレオネの内戦処理をはじめ、東ティモールやアフガニスタンなど数々の紛争地で武装解除の任に当たった東京外語大大学院教授の伊勢崎賢治さん(51)は、21世紀の平和構築と日本の役割について「9条を使って世界の平和維持に貢献する。そのことこそ憲法の精神だ」と語る。【明珍美紀】
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直言52 劇作家、作家 井上ひさしさん

井上ひさしさん 憲法について議論することが社会の活力に

 首相の突然の辞任で迷走する永田町。5人の立候補者による総裁選キャンペーンの末に自民党総裁に選ばれた麻生太郎氏(68)率いる新内閣が9月24日、発足した。就任してすぐに米ニューヨークに飛んだ首相は、国連総会での一般討論演説後、集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈を「基本的には変えるべきものだ」と明言。さらには原子力空母が初めて米軍横須賀基地に配備されるなど、米国との軍事的な結びつきの強化や戦力増強が鮮明になっている。「九条の会」の呼びかけ人の一人で作家の井上ひさしさんは、「憲法を変えようという動きがあるから『こんなにいいものを変える必要はない』という意見が出てくる。互いに議論をし合い、その中間の人々に考えてもらう。それが社会の活力になる」と提言する。【明珍美紀】
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直言51 アーティスト 柳幸典さん

柳幸典さん 9条の倫理的普遍性について思考を

 戦後の国家形成の根幹を担った平和憲法をアートの視点からとらえた美術展「アトミックサンシャインの中へ」が戦後63年の今夏、東京で開かれた。オノ・ヨーコさんをはじめ日本と米国で活動する12人が、戦争や日の丸、天皇制などのテーマに切り込んだ造形作品を披露。参加アーティストの一人で、広島を拠点に活動する柳幸典さんは、「つくられた過程はどうあれ、9条は日本のオリジナル。これについて思考をすることはアーティストの役目だと思った」と胸のうちを明かす。【明珍美紀】
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直言50 翻訳家、池田香代子さん

池田香代子さん 私たちは憲法で戦争を拒否できる

 「憲法による戦争放棄」を軸にした市民有志による初の「9条世界会議」が5月4日から6日まで千葉市の幕張メッセで開かれる。呼びかけ人の共同代表を務めるのは、「世界がもし100人の村だったら」の再話で知られる池田香代子さんだ。「私たちは憲法で戦争を拒否できる。その喜びを世界の人々に伝えたい」と思いを込める。【明珍美紀】
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直言49 APF通信社社長、山路徹さん

山路徹さん 戦場取材は平和の重みを図る指標

 ミャンマー(ビルマ)の首都ヤンゴンで昨秋、反政府デモを取材中、銃弾を受けたジャーナリスト、長井健司さん(当時50歳)の殺害に抗議する署名が約3万9000人に達し、2月中に4万人を突破する見通しとなった。「残虐な取材妨害行為だ」と批判を受けるミャンマー政府はいまだにビデオカメラや遺品の返却に応じていない。長井さんの死は戦場ジャーナリストの過酷さを改めて浮き彫りにしたが、APF通信社社長の山路徹さんは「1メートルでも1歩でも近づきたい。徹底した現場主義だった」と故人を語る。【明珍美紀】
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直言48 男女差別裁判元原告、屋嘉比ふみ子さん

屋嘉比ふみ子さん 「ペイ・エクイティ」の実現に向け労働運動を

 自由や人権擁護に尽力した人々に贈られる「多田謡子反権力人権賞」の07年の受賞者の一人に、京ガス男女賃金差別裁判の元原告、屋嘉比ふみ子さん(58)が選ばれた。「同一価値労働同一賃金」(ペイ・エクイティ)を掲げ、大阪高裁で勝利的な和解(05年末)を手にした。その後の同社の倒産争議では、裁判で何の支援もしようとしなかった会社の労働組合と共闘し、組合の男たちを叱咤激励して一定の解決金を勝ち取るなど、争議を全面的な解決(07年2月)に導いた。「長くつらい闘いだった。それを耐え抜いたのは、憲法という支えがあったから」と屋嘉比さんは言う。【明珍美紀】
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