広島発:現場から

【広島発】上関原発とオスプレイ監視が課題?安倍政権で始まる危険

 憲法改悪、原発容認を公言する政治勢力をバックにした安倍晋三政権の登場で広島では早くも二つの問題に直面している。
 一つは中国電力が建設を目指す上関原発計画だ。3・11前の原発の新増設計画は全国で12基。うち原子炉設置許可を受けて建設中が中電島根3号機など3基、着工前が上関1・2号機など9基で上関は最も計画が進んでいた。民主党政権は2030年代の原発ゼロ実現のため、本体工事中の原発の工事再開は認めたが、着工前の原発を含め、新増設は原則認めない方針を示していた。しかし、安倍氏は政権に着く前の21日上関の地元・山口県庁で記者会見し、2030年代原発ゼロ方針の見直しを表明。組閣後、茂木敏充経産相が前政権の方針は「再検討が必要」と明言した。上関は新設が認められるとしたら最有力とみられる。
 上関計画をめぐっては、中電が建設予定地の公有水面埋め立て免許を得て、埋め立てに着手したが、予定地対岸の祝島住民らの抗議行動で工事が停滞する中で3・11を迎え、工事が中断。埋め立て免許期限切れ直前の12年10月5日に免許の延長を山口県知事に申請していた。延長申請に対して当時の藤村修官房長官と枝野幸男経産相は、建設を認めない方針を示し、山本繁太郎山口知事も「申請は許可できない」と明言していた。逆風下の中電の延長申請は、原発容認の自民党への政権交代で風向きが変わるまで現状維持を狙ったとみられていた。
 自民党圧勝の選挙後、山本知事は県議会で「考え方は政権交代の有無にかかわらず変わらない」と述べたものの、別の質問には「新たな原発建設をどうするか国の責任で示していただきたい」と微妙な姿勢を示した。県の最終決定は年明けとみられる。
 埋め立て工事をめぐって中電は抗議の島民ら4人に計4800万円の損害賠償を求めるなど反対運動を「恫喝する」訴訟を相次いで起こしている。権力や企業が反対活動を抑え込むためのスラップ訴訟だ。裁判所の姿勢をみると、山口地裁が11年3月25日に陸域の工事妨害の場合1人・1団体あたり1日70万円の制裁金の支払いを命じ、12年9月、最高裁が海域の埋め立て工事妨害禁止を求めた仮処分を認めるなど3・11後も中電勝訴の判断が続いている。延長が認められれば、計画反対運動は非常に厳しい状況に直面する。
 もう一つの問題は米軍岩国基地を中継基地とする垂直離着陸機MV22オスプレイの本土訓練が本格化することだ。2012年だけで2回も墜落事故を起こし、専門家も欠陥機と認めるオスプレイの訓練が、住民の安全と安心を脅かすことになるのは必定だ。10月に島ぐるみの反対を押し切って米軍がオスプレイを強行配備した沖縄では、配備前に結ばれた安全確保のための日米合意に反する飛行が相次いでいる。
 広島県内では2012年上半期に米軍機の低空飛行の目撃件数が昨年同期の1.5倍になり、調査を始めた1997年度以降で最多となった。広島県北部と島根県にまたがるエリア567と呼ばれる米軍の訓練空域下や広島県北部を横切るブラウンルートと呼ばれる飛行コース下では11年から12年にかけて小学校や子ども園の上空をジェット機が低空飛行し、子どもたちがおびえて床に伏すなどの被害が続いている。オスプレイの低空飛行訓練は危険と恐怖を倍加することになるだろう。
 安倍政権下で始まる2つの動きを監視するメディアの役割が問われる年になると思っている。
(堺真知)