今週のひと言

「3・11」から3年 行政の役割とは

 東日本大震災からちょうど3年を迎えた日に放送されたテレビ朝日系『報道ステーション』は、「福島県で子どもの甲状腺がんが33人」という長尺の特集を組んだ。
 東京電力福島第一原発事故との因果関係に関する調査報道だが、放送後、ネット上には「タブーに挑戦してよくやった」という肯定意見と「偏向した内容で不安を煽った」という否定意見と、両方が大量に巻き起こった。
 この報道に関して、環境省が自らのサイトに「最近の甲状腺検査をめぐる報道について」という説明文をアップした。「事実関係に誤解を生ずるおそれもあるので、環境省としての見解を以下のようにお示しいたします」「今までの知見からすれば、福島県の子どもの甲状腺がんは、事故の被ばくによるものとは考えにくい」というものだ。
 環境省は、テレビ朝日に対して内容の訂正などは求めなかったが、この文書をテレビ朝日宛にFAX送信したという。
 行政機関として国民の疑問に答えた、ということならわからなくもないが、その背後には同番組に対する無言の圧力や、他の報道機関への牽制、といった思惑も感じられる。
 もともと原子力関係は情報開示が極めて限定的で、このような報道活動は困難を強いられている。環境省には、こんな説明を後から出すくらいなら日ごろからもっと積極的な情報開示に努めるべきだと言いたい。
 それに、別の番組で京大原子炉実験所の今中哲二助教が語っていたように「因果関係がはっきりするのを待つのではなく、被害を小さくするのが行政の役割」なのではないだろうか。
 そのためにも、何よりもまず求められるのは、いまだに続いている福島第一原発からの放射性物質の漏出を一刻も早く止めることだ。