ニュースと論評:憲法メディアウォッチ

〈放送ウオッチ〉改憲反対が逆転「朝まで生テレビ」

 テレビ朝日『朝まで生テレビ』「激論!日本国憲法」
 (07年5月25日放送)

 憲法改正のための国民投票法案が国会で成立したことを受けて、憲法改正の是非について改めて論議しようという企画。出演者は以下のとおり。
 司会:田原総一朗、進行:渡辺宜嗣、長野智子
パネリスト: 平沢勝栄(自民党衆院議員)、高木陽介(公明党衆院議員)、細野豪志(民主党・衆院議員)、仁比聡平(共産党参院議員)、辻元清美(社民党衆院議員)、伊藤真(伊藤塾塾長)、今井一(ジャーナリスト)、潮匡人(帝京大学准教授)、香山リカ(精神科医)、姜尚中(東京大学教授)、小林節(慶応大学教授)、竹花光範(駒澤大学教授)、田村重信(慶応大学講師)、森本敏(拓殖大学海外事情研究所所長)
 番組冒頭で紹介された各紙の世論調査結果では、読売新聞では憲法改正に賛成する人は46・2%と、反対する人(39・1%)より上回っているものの、04年から今年にかけて一貫して賛成派が減少していた。また、朝日新聞の世論調査では「憲法改正が必要」という人は58%にのぼるが、九条は「変えない」という人が49%と、「変える」という人(33%)を大きく上回っていた。こうした状況について司会の田原氏から意見を求められた拓殖大学の森本氏は、「事態が分かれば分かるほど、慎重になっているのではないか」と、現在進められている改憲論議の危険性を認めるような発言をしていた。
 議論では、安倍首相が参院選の争点に憲法改正を持ち出したことについて批判的な意見が与野党双方から出されたほか、成立した国民投票法の問題点(最低投票率の定めがないことなど)、集団的自衛権の「解釈改憲」問題など、選挙を意識して各政党の代表が論戦の火花を散らせた。議論のようすを一つひとつ紹介できないが、記憶に残ったのは、国民投票法案の採決に際して行われた付帯決議について、自民党の平沢氏は「法的拘束力はない」と強調していたことだ。“約束”を守る気など最初からない、というところだろうか。
 今回の番組でもっとも特筆すべきは、番組中に行われた電話アンケートの結果だろう。「憲法改正に賛成か反対か」(改正の内容を示さずに賛否を問うという質問項目の設定にはパネリストからも批判が出ていたが)については賛成が45%、反対が52%と、反対が過半数を占めたのだ。2005年に同番組で行った電話アンケートでは、賛成が58%、反対が39%だったものを大きく逆転した形になっていた。反対の理由は「九条を変えるべきでない」というものが最も多かったようだ。
 また、同じアンケートで「米軍が襲われたら自衛隊は戦うべきか」という質問には52%が反対、賛成は39%で、いわゆる集団的自衛権の行使にも視聴者はNOの意思表示をした形になった。森本氏はその理由を「アメリカのイラク政策の失敗」と分析していたが、これらの結果に改憲派の論客も意気消沈していたようすだったのが印象的だった。(放送レポート編集長 岩崎 貞明 記)