ニュースと論評:憲法メディアウォッチ

〈放送ウオッチ〉NHK『施行60年 いま憲法を問う』

 NHK『施行60年 いま憲法を問う』
 2007年5月3日放送

 5月3日の憲法記念日、NHK総合テレビでは午前中に特集番組『施行60年 いま憲法を問う』が約2時間にわたって放送された。前半は4人の論客のインタビューを中心に構成され、「改憲派」「護憲派」のベテラン・若手が持論を展開した。
 作家の三浦朱門さんは、いまの憲法が制定されたときから、日本にふさわしくないような違和感を覚えた、として、日本の伝統や国民の考え方に即した憲法に変えるべきだと主張。とくに、国民が協力して国を守るという姿勢を明確にすることを求めていた。これに対して作家・詩人の辻井喬さんは、戦争の怖さを知っている世代として、今の憲法には開放感を覚え、「あらゆる手段を使って戦争をおこさないようにすることが必要だ」と強調した。同志社大学教授の村田晃司さんは、アメリカ留学中に湾岸戦争が勃発し、国際社会の中で日本が何もしていないことを痛感、「日米同盟」と憲法のギャップを解消しないと憲法の正統性が維持できないのではないか、と疑問を投げかけた。『亡国のイージス』などで知られる作家の福井晴敏さんは、日本が他国を攻撃しなかった60年間を高く評価し、「理想として掲げる憲法を変えるのはもったいない」と述べていた。このように見てみると、「改憲派」は国家の視点でいまの日本を見て憲法改正の必要性を訴え、「護憲派」は国民・市民の立場から、人権を尊重して国家をコントロールするためには今の憲法を変える必要はないと主張しているという図式が浮かび上がってくる。
 後半は各政党代表による政治討論で、登場したのは自民党・桝添要一、民主党・枝野幸男、公明党・赤松正雄、共産党・笠井亮、社民党・近藤正道、国民新党・亀井久興の各議員。それぞれが自党の主張を述べた、という点においては新味を感じさせるものは見あたらなかったが、興味深かったのは公明党の赤松氏が「憲法9条は1項、2項とも変えない」ことを繰り返し訴えていたこと(3項を追加して自衛隊の海外活動は認める、という主張)、民主党の枝野氏が「憲法は国民が権力をどうコントロールするか、というものだ」として安倍首相の改憲論を「憲法がわかっていない」と批判していたことだ(そのわりには、民主党が国民の立場から改憲の論議を起こそうとしているようにも見えないが)。この点は、公明党を含めた他の政党すべてから自民党が批判を浴びていた。共産党の笠井氏は、環境権やプライバシー権などのいわゆる「新しい権利」を憲法に加えろという主張に対して「基本的人権に含まれているもの」とぴしゃりと封殺していた。
 番組の中で紹介されたNHKの世論調査(4月実施)では、憲法改正が「必要」だというのが47%、「必要ない」が20%だったのに、9条改正が「必要」は25%にとどまり、「必要ない」が44%に上っていた。過去の調査結果に比べると、9条改正論の大幅な後退が明らかだ。(放送レポート編集長 岩崎 貞明 記)