ニュースと論評:憲法メディアウォッチ

〈放送ウオッチ〉5月3日の民放の番組から

 日本テレビ『ニュースZERO』
 テレビ朝日『報道ステーション』
 TBS『筑紫哲也NEWS23』

憲法施行60年に当たる2007年5月3日、民放各局も憲法に関する特集を放送した。
日本テレビは、『ニュースZERO』で「国民投票のシミュレーションドラマ」を放送した。投票方式のあいまいさや、改憲・護憲のキャンペーン合戦になることなど、さまざまな問題点をユーモラスに描きながら、自分で判断して憲法のことを考える重要性を示していた(国民投票法案がそのまま成立した、という前提で制作していたのがちょっと引っかかったが)。テレビ朝日は『報道ステーション』で、憲法の成立過程を関係者の証言などから再現しながら、日本国憲法制定当時は日本政府も憲法改正の国民投票に際して「最低投票率」の規定を設けるべきだと考えていた、という発掘スクープを放送した。その後、政府における最低投票制度の検討は雲散霧消していったが、日本国憲法の精神に立ち返れば、憲法改正は「万人の充分な納得の元に行う」(当時の政府が作成した想定問答より)のは当然のことだろう。
しかし、民放でこの憲法問題にいちばん力を入れていたように見えたのは、やはりTBSの『筑紫哲也NEWS23』。5月2日・3日の二夜にわたって、特集「憲法はどこへ?」を放送していた。
 一夜目は、ラップのビートに乗せて憲法改正を訴える“改憲ラッパー”「AreiRaise(英霊ライズ)」の若者二人と、憲法を漫才のネタにしている大阪のおばちゃんタレント「スモールのっぽ」の二人が鍋を囲みながら議論するという企画。両者による議論の内容そのものが十分紹介されなかったのは残念だったが、双方とも「国民が自分で考えることが大事だ」という点では一致した、という結論は納得できるものだった。続けて放送された「多事争論」では、筑紫哲也キャスターが「憲法に手をつけるのは大事(おおごと)だ」と、安易な議論を戒めていた。
二夜目は、若手の論客として愛敬浩二・名古屋大学教授(憲法学)と萱野稔人・津田塾大学准教授が登場。二人とも「憲法は、強制力を持つ国家にどうルールを守らせるかという存在」だとして、現在の“国家主導”の改憲論議に疑問符を突きつけていた。また、この中で挿入された企画として、公務員・教師・学生といった一般の人々が、自分の仕事や生活の中で憲法をどう考えているか、ということについてのインタビューは、憲法という普段の生活とは遠い存在に見えるものが、自分たちの権利など身近な問題に直結していることを示唆して、視聴者に憲法問題への意識を向けさせる点で効果的だったと言えよう。
(放送レポート編集長 岩崎 貞明 記)