ニュースと論評:憲法をめぐる動き

世界社会フォーラム07・ナイロビで平和憲法を討論(1)

[世界社会フォーラム07・ナイロビ]で

平和憲法を採り上げる(1)

憲法9条は世界の宝、

反戦・非武装の道探ろう

「グローバル・キャンペーン」が第1セッション

 「世界社会フォーラム(WSF)2007は、1月20日から25日までナイジェリア・ナイロビ」で開催され、日本ジャーナリスト会議からは丸山重威ほか2名が参加した。
 数多く開かれたフォラムの一つとして22日午後(日本時間22日夜)、ピースボートと日本国際法律家協会が企画した「非戦へのグローバル9条キャンペーン」(Glovbal Article9 Campaign to Abolish War )の第1セッションが開かれた。以下はそのリポートである。

 昨年開かれた国連主唱によるNGO会議「武力紛争を防止するグローバル・パートナーシップ」(GPPAC)で、「憲法9条はアジア太平洋の安全・平和の基礎」と確認されたことを契機に、世界的なキャンペーンを強化しようというもので、WSFを機会に運動をもう一回り大きくしようとワークショップが企画された。参加したのは、日本を含め世界各国からの代表がざっと50人。「9条」の意義を確認しつつ、「反戦・非武装の憲法9条を、どう広めていけるのか」に関心が集まった。

▼「われわれの誇り」9条が危ない!

 ワークショップでは、ピースボートの川崎哲さんが司会を務め、国法協の梅田章二弁護士ら3人のパネリストが、9条について問題提起した。
 最初に報告した梅田さんは、日本国内の動きを詳細に報告。「戦争を放棄し、軍備を持たないとした憲法9条は、われわれの誇りだ。しかし、自民党はこれを変えようとしている。安倍政権は、教育基本法を改正し、自衛隊の機能をアップさせる法案を成立させた。日本では『9条を守ろう』と訴えた『九条の会』が生まれ、地域の会は5000を超えた。われわれは九条を世界に広めたい」と述べた。
続いて、コスタリカのロベルト・ザモラさんが「コスタリカは1949年以来、軍隊がない。軍隊がないことで、裕福な国ではないが教育や国民の健康に金を使うことができている。どの国も平和条項を盛り込むべきだ」と話した。
 さらに、韓国のフランシス・リーさんが「自衛隊は装備的に世界のトップ級。アジアは既に米国のグローバル・ミリタリゼーションのパーツになっているが、もし日本が9条をなくしたら、アジアの国との間で一触即発になる」とアジアの視点による問題点を指摘した。
 問題提起を受けて、会場の参加者が発言、「世界の国はみんな軍隊を持っているのに、9条を世界に広げるのは難しいだろう。戦争を経験していない世代が、これからどうやって、その運動を進めていくのか」「米国に行って感じるのは、人間としての価値=ヒューマンバリューが低くなってしまっていることだ。米国の側につかなければ、殺してしまう、といった異論を認めない社会になっているのではないか」「どこでも武器を持つことは当たり前になっている。日本でも青年たちは9条の問題について関心が薄いのではないか」など、質問や見解を次々と述べ、活発な討論になった。

▼「軍備があるのは当たり前」をどう変えるか?

これに対し、パネリストや会場発言者から、「正しい歴史を教えることで、9条を継承していこうと考えている。教育についての運動を進めてきた若者に期待している」「米国では、18歳になると、軍に行くのが当たり前の選択肢になっている。子どもたちは何をするのか分からないまま、軍に入り、殺されたり他人を殺してしまったりする。軍隊に行く以外の選択をさせるために、平和教育が必要だ」「日本の国民の間では、9条を変えるべきではない、と考える人が50%を超えている。ジュネーブやバンクーバーで、9条を支持する会が生まれており、ナイロビでもどこでも作ってほしい」などの発言が続いた。
特に、アフリカの参加者からは「アフリカの各国は軍隊を保持するためにお金が大変かかっている」「東アフリカは巨大な兵器マーケットで、紛争が兵器産業にとっては必要なのだ」などの指摘があり、「アフリカで何をするのか問題だ」とも提起された。
 これに対し、やはりフロアから「ここに来て、アフリカでこそ軍備をなくすことが必要で、9条の意味は大きいことを感じた。武器のないアフリカこそ『もう一つのアフリカ』だ」との発言や、コスタリカのロベルトさんの「どの国も最初は軍が必要だったかもしれないが、次のステップで必要なのは食物や教育になる。われわれは、ベネズエラにも軍縮と教育投資を訴えている」などの発言があった。

▼来年日本で国際会議 

 最後に、川崎さんが「来年、日本で9条の国際会議が計画されている。第2セッションで、どうやって国際的な軍備廃止の9条キャンペーンを広げていくか討論したい」と締めくくって、24日に予定されているワークショップにつなげた。
 日本国憲法9条は、既に1999年のハーグの平和市民会議で、「世界のすべての議会は9条と同じような戦争禁止条項を入れさせよう」とアピールされるなど、その重要性が国際的に認められてきている。

 世界社会フォーラムが目指している「もう一つの世界」は、「戦争がない世界」「兵器がない世界」でなくてはならないことも明らか。「死の商人」が入ることで紛争が絶えないアフリカで、「9条」を語ることは、新自由主義、市場主義の問題点を改めて浮かび上がらせることになり、日本国憲法の国際的な意義を改めて認識させる討論だった、ともいえそうだ。
          (ナイロビで 丸山重威、伊藤洋子、渡辺静)