ニュースと論評:憲法をめぐる動き

小泉首相の靖国参拝に抗議するJCJ緊急声明

小泉首相の靖国参拝に抗議する
緊急声明

 小泉首相は6度目の靖国参拝を、終戦記念日の8月15日に強行した。
 日本ジャーナリスト会議は、この靖国参拝に満身の怒りを込め抗議する。
 日本政府の責任者である首相が、日本の侵略戦争を「自存自衛」の戦争、アジア諸民族「解放」のための戦争と賛美し、その歴史観を宣伝し、「英霊」をたたえる靖国神社へ参拝したことは、断じて許すわけにいかない。

 首相が、こうした性格の靖国神社を参拝することは、日本国憲法を否定し、国際的道理にも反した許されざる行為である。世論調査でも参拝反対の声は半数を超える。多くの犠牲者を出したアジア各国からの抗議はもちろん、欧米諸国からの批判も、ますます強まるのは明らかだ。

 首相は、「戦没者全般に対して哀悼の意をささげるのが、けしからんというのは、理由が分からない。いつ行くかは適切に判断する」と発言し、「他の国が干渉すべきことではない。心の問題だ」と居直り続けてきた。

 もともと靖国神社は「戦没者全般」を「哀悼」する施設ではない。「官軍の戦没者」のみを対象とし、病を得て軍を離れ亡くなった人々、戦火の犠牲となった民間人などは戦没者とされず、祀られていない。

 日本が起こしたアジア太平洋戦争は、東京裁判で国際的に決着がついている。戦争を指導した責任者の罪は明確に問われ、A級戦争犯罪人として処刑されている。にもかかわらず、そのA級戦犯を靖国神社に秘かに合祀すること自体、問われなければならない。日本の軍国主義を推進した「英霊」を顕彰する神社として、復活させようとの意図は明らかである。

 首相の発言と行動は、あたかも靖国参拝が「心」の問題であり、個人の自由であるかのようにすり替え、靖国神社の本質を隠蔽し、アジア太平洋戦争に対する歴史認識を誤らせている。日本の「英霊」によって殺された中国・韓国などの犠牲者へ、想いを寄せる「心」は感じられない。その無神経さに私たちは深い危惧をもつ。

 かつて日本の新聞や雑誌は、日本の侵略戦争を支持し、助長する立場に傾斜し、日本を誤った戦争に突入させてしまった経験を持っている。私たちはその過ちを繰り返してはならない。
 メディアに携わる私たちは、「信教の自由」とか「素朴な心情」とか称して、小泉首相の政治的行動に幻惑されてはならない。かつ過去の戦争を賛美する風潮を厳しく戒めていかなければならない。

  2006年8月15日
       
             日本ジャーナリスト会議