今週のひと言

戦争はできない時代

 シリアの化学兵器問題の展開や、イランの核開発問題を見て感じるのは、「力と力」の対決の時代がようやく終わり、化学兵器も核兵器も、実は「使えない兵器」であることが改めて世界に示された、ということだ。
 「化学兵器の使用には制裁が必要だ」と武力攻撃を主張したオバマ大統領の発言に、英国でもドイツやフランスでも、そして米国内でも「反対」のデモが起き、英国議会は攻撃参加を否決した。潘基文国連事務総長やローマ法王フランシスコ1世や、ドイツ、オランダ、ポーランドなども反対に回った。強硬派だった米共和党のマケイン上院議員は、地元の支持者たちの集会で「あなたを議会に送ったのは戦争を止めるためだ」という声に立ち往生した。…その結果、ロシアが動き、化学兵器を放棄させることで一致、シリアもこれを呑んだ。
 2003年のイラク反戦デモは、地球を一回りする反対の声があったが、ブッシュ大統領の手を止めることはできなかった。しかし、「アラブの春」や「オキュパイ運動」を経て、民衆の声に逆らって戦争を始めることはできなくなった。今回も米軍は地中海や紅海に空母や駆逐艦を展開し、いつでも動ける態勢を作ったが、「空振り」で終わりそうだ。
 日本のメディアはそんな中で、大国の「駆け引き」を書き、オバマ大統領の「威信」を問題にする。しかし、違うのではないか。大切なことは「戦争はできない時代」に入りつつあることではないだろうか。