今週のひと言

首相のウソ

 「汚染水の影響は福島第1原発の港湾内0・3平方キロメートル内で完全にブロックされている」。遠く離れた南米のアルゼンチン。国際オリンピック委員会総会で放たれた発言に耳を疑った。この国の首相は一体、何を根拠にこんなことを言っているのか。世界中に知れ渡った東京電力福島第1原発の事故。日本政府は1日300トンの汚染水が海に染み出ていると試算し、排水溝から外洋に流れている可能性が高いと言われている。
 原発事故の影響については各国のジャーナリストが関心を持っていた。こんなスピーチを用意したのはだれなのか。これが五輪誘致のためであれば、一国の首相が「ウソ」をついたと批判されても仕方がない。
 東日本大震災から2年半。何度も繰り返すが被災地の状態は復興とはほど遠く、原発事故は収束していない。7年後の東京五輪開催に向け、これから新たな施設の建設が始まる。そちらに資材や人手が投入され、東北の再生がなおざりにされるようなことがあってはならない。都知事は「コンパクト五輪」にすると言っている。それなら、いまある設備のバリアフリー化やエコリフォームを進めるなどして工夫することを考えればいい。
 首相発言に対して追及の手を緩めるべきではない。五輪開催に浮かれているのはマスメディアも同じだ。