今週のひと言

こんな「手口」は許されない

 内閣法制局の長官に集団的自衛権の行使容認に積極的とされる小松一郎駐仏大使をあてる異例の人事が、8日の閣議で決まった。参院選で圧勝した安倍首相が、法制局トップの首をすげ替えることで、これまでの政府解釈で認められなかった集団的自衛権の行使に道を開こうとする狙いは明らかだろう。
 小泉内閣時代に法制局長官を務めた阪田雅裕氏の発言を思い出した。「憲法9条は、国会での長い議論の積み重ねがある。その解釈を安易に変えるのは天に向かってつばするようなもの。『今まで政府の言ってきたことはまったくなしにします』ということが許されるとすれば、国会論議は何だったんだということになる。大きく言えば、民主政治の否定になるのではないか」(2010年1月15日付朝日新聞)
 民主政治の否定といえば、安倍政権の副総理、麻生太郎氏が先日、こんなことを言っていた。「憲法はある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口に学んだらどうかね」
 麻生氏は謝罪で幕引きを図ろうとしているが、「あの手口」を実践しているのが安倍政権ではないか。ヒトラー率いるナチスがワイマール憲法を骨抜きにしていった歴史と、集団的自衛権の行使を可能にすることで憲法9条を骨抜きにしようとする安倍政権の姿勢がダブって見える。
 ずるずるべったりの解釈の変更で、憲法9条の大原則をねじ曲げる「手口」を許してよいのか。問題はそこにある。