今週のひと言

首相の資格

 韓国最南端の済州島(チェジュド)で起きた民衆蜂起「四・三事件」から今年で65年。24日、東京であった恒例の追悼の集いに、済州島で神房(シンバン)と呼ばれるシャーマン(霊能者)の徐順実(ソ・スンシル)さん(52)が登場し、神々への来歴を歌う長大な巫歌と死者への祈りによる儀礼を執り行った。
 「私の親類も四・三事件で命を失った。犠牲者の魂を天に送ることが私の使命」と徐さんはおごそかに語った。
 四・三事件は米軍政下の1948年に発生した。南朝鮮単独選挙による南北分断などに反対して島民らが蜂起し、武力弾圧で約3万人が犠牲になったと言われる。「韓国政府は長い間、この事件を公にしてこなかった。真相究明には日本の市民の協力があった」と主催した「済州島四・三事件を考える会・東京」会長のチョウ・ドンヒョンさん(64)は言う。
 安倍晋三首相の改憲をめぐる発言がエスカレートしている。「アベノミクス」なる得たいの知れない言葉が独り歩きし、それに便乗するかのように「(憲法は)占領時代の仕組み」などと発言し、閣僚の靖国神社参拝についても、アジア各国の反発を承知で堂々と援護する。
 日本の植民地支配と侵略という歴史を受け止め、和解をしようとする草の根の市民の気持ちを分からないのであれば、首相の資格はない。