今週のひと言

「一見極めて明白に違憲」の安保関連法案

 集団的自衛権の行使は認められないとしてきたこれまでの憲法9条の解釈を都合よくねじ曲げ、安倍政権が強引に成立を急ぐ安保関連法案の違憲性が焦点になってきた。今月4日、衆院憲法審査会で参考人として招致された憲法学者3人がすべて、法案は憲法違反だと言い切ったからだ。当然のことだろう。
 様々なところで法案のほころびが出ているが、安保関連法案を合憲とする根拠について砂川事件の最高裁判決を引き合いに出すご都合主義は、いかにも「法の支配」「立憲主義」を軽んじるこの政権の性格を表している。
 安倍晋三首相は8日のドイツでの記者会見で、集団的自衛権の行使を可能にする法案について「最高裁判決に沿ったものであるのは明白」と述べた。高村正彦・自民党副総裁も11日の憲法審査会でこの判決を引き合いに出し、集団的自衛権は認められると強調した。
 判決を改めて読み返してみたが、集団的自衛権という言葉はどこにも出ていない。最高裁判決が言い渡されたのは1959年12月。自衛隊ができてまだ5年しかたっていないころだ。海外に出ていって、他国のために戦うなんて、あの当時、いったいだれが考えていただろう。裁判でも争点になっていないのに、どうして裁判所が判断できるだろうか。
 さらにこの判決をめぐっては、米国の公文書から米国側が日本に圧力をかけていた実態がわかっている。東京地裁の無罪判決のあと、当時の田中耕太郎長官が駐日公使と非公式に接触するという、司法の独立を揺るがす事態が起きていたのだ。元被告らは再審請求を起こしている。
 砂川事件の最高裁判決は集団的自衛権を認めてはいない。しかも、判決そのものに疑念がかけられている。安保関連法案は「一見極めて明白に違憲」というほかない。