今週のひと言

あれから2年

 警察庁の発表によると、2月末現在、岩手・宮城・福島の3県あわせて死者1万5811人、行方不明者2722人、今も身元がわからない遺体は132人、という。犠牲になった方々、その一人ひとりが生の営み、あったかもしれない未来を永遠に奪われてしまったということに、そして未だに行方の分からない方や身元の分からない遺体の多さに、改めて厳粛な衝撃を覚える。作家・クリエーターのいとうせいこう氏は、16年ぶりという中編小説「想像ラジオ」をこのほど発表し、その中で「死者の声に耳を傾ける」ことの重要性を強調した。
 東京電力福島第一原子力発電所事故も同様だ。東京で開かれたあるトークイベントで、京大原子炉実験所の小出裕章氏は、4号機の使用済み核燃料プールに「がれきの山」が被さっている映像を示しながら、核燃料の取り出しまでにこれから何十年もの時間がかかることを説明し、「私が生きている間に作業を始めることはできないかもしれない」と語った。突然生活の拠点から追い立てられ、避難を余儀なくされた何万という人々もまた、あったかもしれない数十年の未来が予め失われていく、ということになるのではないだろうか。
 「震災からの復旧・復興」と誰もが口にするが、もはや絶対に取り返しのつかない、数えきれないものたちが失われているという現実に対して、もっと謙虚でありたいと思う。