今週のひと言

政策スタートと「独裁者」

 安倍首相が日米首脳会談を終わって、TPPに動き出し、施政方針演説で次々に「安倍カラー」を打ち出した。東京新聞が指摘する通り、「既に知られた方針ばかりだが、ちょうど一カ月前の所信表明演説では与党内の異論にも配慮してほとんど触れなかったものばかり」で、首相はいよいよ「改憲」と「日本の作り替え」をスタートさせた。
 演説で目立つのは、保守的な発想と、美辞麗句。それに、議員と国民への呼びかけだ。 「憲法審査会の議論を促進し、憲法改正に向けた国民的な議論を深めようではありませんか」「いま、この瞬間も海上保安庁や警察、自衛隊の諸君は、強い意志と忍耐力で任務に当たっています。(中略)皆さん、与野党を超えて、いま、この場から、彼らに対し、感謝の意を示そうではありませんか」。そして、「私は彼らの先頭に立って、国民の生命・財産、我が国の領土・領空・領海を断固として守り抜く」と「国家安全保障会議」の設置に導き、フォークランド紛争でのサッチャー英首相の言葉を引いて、「安全保障の危機は『ひとごと』ではありません。『いま、そこにある危機』なのです」。
 それだけではない。「原発事故の反省に立ち、原子力規制委員会の下で、妥協することなく安全性を高める新たな安全文化を創り上げます。その上で、安全が確認された原発は再稼働します」、「現行の教育委員会制度について、責任体制を明確にすることをはじめ、抜本的な改革に向けた検討を進めます」「6・3・3・4制の見直しである『平成の学制大改革』をはじめ教育再生に向けた具体的な課題について、今後検討を進めます」、そしてさらに、「『攻めの農業改革』が必要です。日本は瑞穂の国です。息をのむほど美しい棚田の風景、伝統ある文化。若者たちがこうした美しいふるさとを守り、未来に希望を持て『強い農業』を作って参ります」いい、TPPにも「今後、政府の責任において、交渉参加について判断いたします」と宣言した。
 「私たち一人一人が、自ら立って前を向き、未来は明るいと信じて前進することが、私たちの次の、そのまた次の世代の日本人に、立派な国、強い国を残す唯一の道であります」「皆さん、いまこそ、世界一を目指していこうではありませんか」という首相。チャップリンの映画、「独裁者」を思い出したのは私だけだろうか。