今週のひと言

「安倍国際劇場」

 明らかに解散を意識したからだろうと思うのだが、安倍首相は12月に「外交スケジュール」を詰め込んだ。日中韓の首脳会談で、対米、対露にも「結束」を見せ、ロシア・プーチン大統領を自分の地元に迎えて「領土問題の前進」を図り、慌てふためいて飛んでいったトランプ氏との就任前の会談で気まずくなった米国には「真珠湾の慰霊」。「謝罪ではないよ」と言い続けながら、「解釈はご自由に」―。メディアをフルに使って宣伝し、「戦後の課題は全て私が解決した。残された課題は改憲だけ」と、年明け解散に踏み切り、総選挙。トランプ政権発足に合わせて、「アジアの大国」として胸を張りたい。そんな夢が膨らんでいたはずだ。
 しかし、そう問屋は卸さない。韓国が民衆の力で政変必至、プーチン大統領との交渉でさえ、結局、70年間の「実効支配」と「経済進出」を狙う経済界の論理が、「領土」「領土」とこだわる首相の「思想信条」を上回ってしまった。そもそも「領土」を前提にすること自体、前世紀的で「時代錯誤」。間違っているのだが、それは首相の「思想信条」に反する。ロシアも経済交流は一段と進むだろうが、「領土」は、2島返還の合意以前に戻ってしまった。「安倍大国主義」が、「経済」に敗れたのは間違いなさそうだ。

 それにしても、わけが分からないうちに「強行」が続いて、TPPだけでなく、年金切り下げ、カジノ解禁まで通ってしまった臨時国会でもそうだったが、問題はメディアがこの「安倍国際劇場」にもそのまま付き合い、きちんとした批判をしていないことだ。
 早い話、北方領土にしても、その帰属についての主張は主張として、ロシアの実効支配を認めて必要なことを進める、と発想の転換をしなければ、いつまで経っても解決などはないだろう。この原則は、尖閣でも、竹島でも同じだが、堂々と、ロシアの実効支配の下での自由往来、経済交流を広げればいいではないか。

 「プーチン大統領の主張は以前より後退していないか」という産経・阿比留記者の質問に、大統領は、歴史的経過を説き、「日本と米国が特別の関係にある中で、どう日露関係を進めるのかわからない」と切り返した。「それはそっちの問題でしょう? こちらが聞きたい」と言っているようなものだ。
 真珠湾についても、率直に謝ればいい。同時に、柳条湖、盧溝橋、南京と進んだ中国侵略ももう一度見直して、謝って政策転換をしなければ、「21世紀の外交」は築けない。憲法が言う「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は普遍的なもの」というのは、実はそういうことではないのか。
 「安倍国際劇場」のパフォーマンスをいくら繰り返しても、まず、対米従属から脱却する「国の在り方」と、真の善隣友好外交が根付き、日本国憲法に沿ったものにならない限り、「戦後」は終わらない。