今週のひと言

「人権委設置法案」が報じられない

 急転直下、解散ということになってしまった今臨時国会に「人権委員会設置法案」が提出されていた。法務省の外局として「人権委員会」を設置し、「公権力による人権侵害行為を始めとする人権侵害行為について、より実効的な救済を図る」ためとしているものだが、右翼勢力からはこの法案に対する批判が強い。「在日韓国・朝鮮人の人権を擁護するなどとんでもない」というものだ。国際社会から人権救済機関の設置を求められている事情をまったく顧慮しない、こんな意見にはとてもついていけないが、別の意味で、この法案の差別表現を禁じる規定が表現の自由を侵害する恐れもある。例の『週刊朝日』の橋下徹・大阪市長の出自をめぐる連載記事の問題も、人権委員会の調査対象となる可能性がある。
 ところで、マスコミではこの法案の報道をほとんど見かけなかった。かつての「人権擁護法案」のときは、メディアの報道による人権侵害が同委員会の救済対象とされていたため新聞・テレビとも業界を挙げて反対を表明したが、今回の法案ではメディア規制条項が削除されているからだろうか。もしそうだとしたら、自分に火の粉が降りかからなければ問題視しない、という「業界エゴ」批判を免れないのではないか。