今週のひと言

「ポスト真実」と教育勅語、共謀罪

 米国のトランプ政権の誕生によって、世界中に「ポスト真実」という言葉が広がった。安倍政権下の日本も深刻な事態にある。
 森友学園問題でにわかにスポットが当たり始めた教育勅語をめぐり、政権は「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」という答弁書を閣議決定した。
 天皇主権下の神権的な国体論と結びついた教育勅語は、国民主権の日本国憲法に明らかに反する。教材として教えるとすれば負の歴史の素材として使うほかないが、政権は基準を明らかにしないばかりか、義家弘介・文部科学副大臣にいたっては、幼稚園などの朝礼で教育勅語を朗読することを「問題ない」と言い切る。本音が出ているということだろう。報道によると、「けがの功名」と喜んでいる日本会議関係者もいるそうだ。
 まともに考えれば憲法違反だけど、何が悪い。支持率は下がっていないだろ——そんな政権中枢の声がどこかから聞こえてきそうで、めまいを覚える。
 「戦争法」の時もそうだった。
 集団的自衛権を認めていないという政府解釈を180度覆したにもかかわらず、法的・論理的整合性がとれているとして、解釈改憲と認めない。あげくに、砂川事件最高裁判決が集団的自衛権を容認しているという驚くべき屁理屈を持ち出し、正当化した。
 これまで黒だったといっていたものを、平気な顔で白という。ジョージ・オーウェルの「一九八四年」が売れているそうだが、徹底的な監視と、都合の悪い事実を消し、権力者側の意向で「真実」が決められる状況が、私たちの目の前にある。
 共謀罪が審議入りした。ポスト真実と監視によって生まれるのは、全体主義の社会である。メディアにはその危うさに対する自覚が足りない。