今週のひと言

「壊憲」の危機とメディアの罪

 いま私たちが目撃しているのは何か。
 ▽「思想・信条」の自由を侵し、憲法違反の疑いさえある「共謀罪」法案が19日午後、大臣の答弁がしどろもどろという状況下で、衆院法務委員会で強行採決された。
 ▽「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐり、内閣府が文部科学省に「総理の意向」だと伝えた記録が文書に残されていたのに、「怪文書」(菅義偉官房長官)などと問題をすり替え、政権側は説明を拒む。
 ▽「森友学園」国有地売却問題で、財務省が野党議員に提出した資料にある設立趣意書のタイトルや内容が記された部分が黒塗りだった。
 ▽衆院厚生労働委員会では森友学園への国有地売却問題について民進党議員が安倍首相に質問すると、「法案と関係ない」と反発した与党が採決を強行した。
 ▽憲法改正原案の発議権のない行政の長のトップである首相が、発議権を持つ国会の頭越しに、2020年と時期を区切って憲法改正の提案をした。
 数え上げればきりがないが、この1カ月に起きていることだけをみても、日本の憲法秩序は壊れかけているということが明白だ。
 「共謀罪」法案で憲法違反の指摘を受けても顧みようとしない政権の姿勢は、「法の支配」の逸脱である。疑惑を指摘されての委員会の強行採決は、委員の質問権を奪うもので、議会制民主主義への攻撃である。安倍首相の改憲メッセージから浮かぶのは、国民世論はそっちのけで、何が何でも改憲したいという憲法の「私物化」である。
 メディアは「壊憲」の危機を主権者国民に伝えているのか。とりわけ、「テロ等準備罪」と偽りの看板をたれ流し続ける一部メディアの罪は重大だ。