今週のひと言

首相の暴走を見過ごすな

 米映画「ウォー・マシーン:戦争は話術だ!」のオンラインによる配信が26日、世界約190カ国で開始された。世界最大級の映像配信サービス「Netflix」(本社・米国)のオリジナル作品で、映画に主演する俳優のブラッド・ピットがCEOを務めるプロダクション「Plan B」が製作を手がけた。駐アフガニスタン米軍司令官だった、スタンリー・マクリスタルに密着したルポルタージュ(マイケル・へイスティングス著)をもとに脚色。現代の戦争の不条理を風刺にまぶし、コメディータッチに仕立てた。
 「この作品は反戦映画。そして反体制映画でもある」。プロデューサーの一人で、ブラッド・ピットらとともに来日したデデ・ガードナーさん(49)は言い切る。折しも、東京でイベントがあった23日の夜、「共謀罪」法案が衆院を通過した。「アフガン戦争も反テロを掲げたものだった。けれども、それで犠牲になった人々、無辜(むこ)の民に与えた被害は計り知れない。日本のみなさんにもぜひ、この映画を通して戦争について考えてほしい」と強調した。
  ◇             ◇
 政府は、従来の「共謀罪」の名称を「テロ等準備罪」と変えて国会に法案を出してきた。立法の理由は国際組織犯罪防止条約の締結だったはずだが、同条約の目的にはテロ対策は含まれておらず、衆院の審議でこの点を指摘されると答弁の内容はぐらぐらと揺れた。「内心の自由」の問題をめぐっても答弁は二転三転。それでも採決に踏み切るのだから、与党、あるいは首相の暴走としか言いようがない。
 法案の審議の場はこれから参院に移るが、市民の無関心が最もこわい。「共謀罪」が成立すればどうなるのか、この国がどんな状況にあるのか、一人でも多くの人に伝えることがメディアの責務だ。