今週のひと言

安倍首相の改憲への執念は変わらない

 安倍晋三首相は内閣改造後の3日夕の記者会見冒頭、森友学園、加計学園を巡る問題や防衛省のPKO日報問題で国民の不信を招いたとして「改めて深く反省し、おわび申し上げたい」と、約10秒間にわたって頭を下げた。「安倍内閣はこれからも経済最優先だ」とアベノミクス推進を掲げたのは支持率低下のときの常套句で、「またか」という以上の感想はない。発言の中で目を引くのは、憲法改正を巡って「スケジュールありきではない」として、これまで公言していた「今年秋の臨時国会に自民党の改憲案を提出し、2020年に新憲法を施行する」との目標を修正したことだろう。
 東京発行の新聞各紙も4日付朝刊では「改憲日程 首相が軌道修正」(朝日新聞)、「改憲日程ありき 否定」(毎日新聞)などと、この発言を1面トップの見出しに取った紙面が大勢を占めた。中でも産経新聞が脇見出しに「秋の提示方針 先送り」と踏み込んでいるのが目を引く。産経の記事によると、安倍首相側近の萩生田光一・自民党幹事長代理は3日夜、安倍首相の発言について記者団に「軌道修正した」と明言したという。安倍政権支持が際立つ産経の判断だ。自民党の改憲案提出は先送りになったと受け止めていい。傍証もある。自民党の改憲案づくりの実務の中心は、内閣改造で2度目の法務相に就いた上川陽子氏だったのだという。前任の金田勝年氏があまりに閣僚の資質を欠き、批判を浴びていただけに、法相ポストの人選には心を砕いたはずだ。憲法改正よりも、当面の課題として政権運営の建て直しを優先させたことがうかがえる。
 一方で、安倍首相にとって改憲が悲願であることに変わりはない。改憲勢力が衆参両院で、改憲発議に必要な3分の2超の議席を占めている状況にも変わりはない。だから今は、自らの傲慢さによって弱まった「安倍1強」の求心力を回復させることが至上命題—。安倍首相はそう考えているはずだ。当面は手堅い政権運営に努め、国民にはひたすら殊勝さをアピールしていく戦略なのだろう。会見で10秒間に渡って頭を下げたように。森友学園、加計学園、PKO日報の問題でも、野党の審議要求に柔軟に応じるかもしれない。それもこれも、憲法改正を実現させるため。改憲への執念はいささかも変わっていない。