今週のひと言

夏のNHKはすごかった

 「8月ジャーナリズム」とも揶揄される戦争関連のドキュメンタリー番組だが、今年のNHKはとりわけ力作ぞろいだった印象だ。
 『NHKスペシャル』では、まず8月12日放送の『本土空襲 全記録』。米軍の戦闘機に装備された、機銃を撃つと自動的に映像を録画する「ガンカメラ」の映像を新たに発掘し、米軍による日本本土への空襲の実態がどうだったかを詳しく見せた。
 8月13日放送は『731部隊の真実~エリート医学者と人体実験~』。戦時中、旧満州で密かに人体実験などを行って細菌兵器を研究していた731部隊は、終戦に際して証拠を徹底的に隠滅していたが、今回NHKは、終戦直後に旧ソ連で行われたハバロフスク裁判の録音テープを新発見。そこに残されていた部隊の中枢メンバーの話から部隊の真相に迫るという、歴史的価値の高い番組だった。
 8月14日は『樺太地上戦 終戦後7日間の悲劇』。終戦を迎えたはずの8月15日になぜか「樺太死守」の軍命が下され、現地の住民も巻き込んで旧ソ連軍と死闘を繰り広げた樺太での地上戦の悲惨な実態が明らかにされた。
 そして8月15日『戦慄の記録 インパール』。当時のビルマからインド北東部のインパールに向けてイギリス軍攻撃のために無謀な行軍を行って多数の死傷者を出し、「白骨街道」と称された「インパール作戦」を最近の現地踏査で検証し、新たに見つかった資料から非人道的な作戦の全貌に迫った。
 このほか、長崎原爆と部落差別の問題を追ったETV特集の『原爆と沈黙』や、雑誌『暮らしの手帖』への投稿から戦時中の庶民の日常をリアルに描いた『描き続けた“くらし” 戦争中の庶民の記録』など、放送史に残るような傑作が目白押しだった。
 スマホなどからも受信料を取ろうと狙っているNHKだが、これだけの番組を見せてくれるのなら、払うのもしょうがないか??