今週のひと言

記録作家、林えいだいさんの言葉

 「植民地支配は人間の尊厳を奪いつくす」
 福岡県の筑豊地方を拠点に、朝鮮人強制連行や公害、戦争などをテーマに執筆を続けた記録作家、林えいだいさんが今月1日、83歳の生涯を閉じた。冒頭の言葉は、長年の聞き取りや取材で林さんがたどり着いた「真実」だ。
 神主だった父は戦時中、炭鉱から逃亡した朝鮮人をかくまった。特別高等警察に連行されて拷問を受けた後、死亡した。残された母は言った。「人間はぶれるものじゃない」。早稲田大学への進学で上京した林さんは、足尾銅山鉱毒事件のルポルタージュ「谷中村滅亡史」(荒畑寒村著)を読んで刺激を受け、「筑豊の史実を掘り起こす」と決意。同大を中退して帰郷した。「清算されない昭和―朝鮮人強制連行の記録」「実録証言 大刀洗さくら弾機事件―朝鮮人特攻隊員処刑の闇」――。その後の著書は50冊以上に及ぶ。
 「安倍9条改憲NO!」を合言葉に、「憲法破壊」阻止のための全国市民アクションの発足集会が8日、東京で開かれた。ルポライターの鎌田慧さんや作家の澤地久枝さん、落合恵子さんらが発起人。「改憲反対の一点で手をつなごう」と呼びかける。
 「過去、日本が何をしてきたのか、きちんと点検しなければ、同じ過ちを繰り返す」。林さんはこうも話していた。その教訓とともに、「対立」ではなく「対話」でこの国に平和の輪を広げていこう。