今週のひと言

改憲で2つの「たたき台」

 自民党の憲法改正推進本部の具体的作業が動き始めた。
 同本部は、今春、①2017年秋の臨時国会で自民党本部の改正案を提示、②18年の通常国会で、各党の案をまとめて発議、③19年には国民投票で、④20年には新憲法施行—の工程表を明らかにしていたが、11月に入って2回の会合で、4つの課題のうちの2つについて、同党の議論の「たたき台」を公表した。
 まとまったのは、16日の「参院選挙区の合区問題」と「教育無償化」についての「たたき台」。
 まず、参院選挙区の合区問題では、「国政選挙の実施方法は法律で定める」とした憲法47条に、「各選挙区は人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定めなければならない」の一文を挿入。ただし書きとして「参院議員の全部または一部については、改選ごとに各広域的な地方公共団体の区域から少なくとも1人が選出されるよう定めなければならない」との表現を盛り込む、というもので、国会議員を「全国民の代表」と位置付けた43条は改正しないという。
 そして、「教育無償化」については、26条の1項で「教育を受ける権利」を決めた憲法26条1項、「教育を受けさせる義務と義務教育の無償」を決めた2項に、1項に「経済的理由によって教育を受ける権利を奪われない」との文言を追加。「国は教育環境の整備に努めなければならない」との努力義務を3項として新設するとしている。
 自民党が4項目について改憲条文を検討する、としたとき、「目くらまし」か、と思ったが、この「たたき台」の発表はまさにこの「目くらまし」だろう。
 「改憲」をあたかも既定方針のように社会に定着させ、本命の「自衛隊明記」に進む。
 「たたき台」には、異論を出させていかにも再検討したようにみせかけ、推進本部案→自民党案→与党案、と進めて、「国会多数派案」となったところで、強行の下地もできる。
 新聞、テレビとも、この2つの「たたき台」についての報道は、消極的だ。その狙いを見抜いた報道こそ求められている。