今週のひと言

軍拡の今こそ、9条の理念を現実のものに

 海上自衛隊のヘリ搭載護衛艦「いずも」の空母改造を防衛省が検討している、とのニュースが年の瀬、マスメディアを駆け巡った。最初は共同通信が12月24日に配信し、25日付の全国の地方紙などが掲載した。翌26日付朝刊で読売新聞が、27日付では朝日新聞や東京新聞も報じた。記事の内容には差異もあるが、要は政府が「空母ではない」と言い張っている「いずも」を改造し、米国製の最新鋭ステルス戦闘機F35Bを運用できるようにするということだ。そんな米軍並みの兵器を「専守防衛」の自衛隊に配備する余地はないはず。だから、さすがの産経新聞も「政府はこれまで『攻撃型空母』の保有は必要最小限度を超えるため認められないとの憲法9条解釈を継承しており、解釈の見直しや整合性の確保が課題になりそうだ」と書かざるを得なかった。
 空母の保有は問題だが、それ以上に問題だと感じるのは、明らかに憲法上の制約を超える兵器について、防衛省が独断で密かに検討を進めていることだ。憲法遵守の姿勢は見られない。似た例はほかにもある。陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」は国会での論戦もなく、閣議決定だけで導入が決まった。巡航ミサイルも防衛省の言い値で予算化された。そうやって2018年度の防衛費は6年連続増で過去最大となる。安倍晋三政権が5年続いて、実現したのは軍拡国家だ。そしてそのことに、反対の世論の大きなうねりが生じるわけでもないのは、北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の海洋進出が喧伝されているからだろう。思い起こすのはナチス・ドイツの大立者だったヘルマン・ゲーリングが戦後、米軍に拘束されていた際に遺した言葉だ。「政治指導者が国民を戦争に向かわせるのは簡単なことだ。攻撃されていると言い、平和主義者のことは愛国心が欠けていると言えばよい。どんな国でも有効だ」
 明けて2018年。確かに北朝鮮情勢は不安だ。トランプ米大統領の行動はもともと予測不可能と指摘されることもあって緊張が続く。北朝鮮がミサイル発射や核実験を繰り返すのは、日本に住む私たちにとって気持ちのいい話ではないし、核の保有も容認できない。しかし、だからと言って、武力に武力で対抗していく道を歩めば最後はどうなるかは、70年以上前の敗戦が示している。「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」—。この憲法9条の理念を今こそ現実のものにする時だ。