今週のひと言

現代の箴言

 来る3月10日午後、東京・日比谷のプレスセンター10階ホールで、シンポジウム「原寿雄さんと現代のジャーナリズムを語る会」が開かれる。昨年急逝されたジャーナリストで元共同通信編集主幹の原寿雄さんを偲んで開かれるものだが、これに際して藤森研・専修大学教授が、会場配布資料用に原さんの語録をまとめられた。現代の箴言とも言える原さんのことばから、その一部を紹介しておきたい。

・歴史意識のない者は現代の新聞記者として、失格といえる。〈1979年『新聞記者』より〉
・「戦争が始まれば自由は終わる」といわれるが、戦争のなかにあっても戦争批判の自由をジャーナリズムが確立できるようでなければ、戦争を阻止するジャーナリズムはとても望みえないだろう。・・・私たちは「自国のかかわる戦争には極めて弱い」ことを十分承知しておく必要があると思う。同盟国の戦争も自国のかかわる戦争となる。〈1992年『新しいジャーナリストたちへ』〉
・メディアの上で差別表現は消えても、差別社会の実態がいっこうに変わらないのでは意味がない。ジャーナリズムとしては「差別をしない」ではなく、「差別をなくす」でなければならない。〈1997年『ジャーナリズムの思想』〉
・デジタル時代がこのまま進めば、人びとは自分の個人的な利害や趣味、関係する仕事に直接かかわる情報以外に関心を持たず、公共的な情報は不要視され、権力監視や社会正義の追求に不可欠なジャーナリズムは、滅びてしまいそうな情勢である。情報栄えてジャーナリズム滅び、ジャーナリズム滅びて、民主主義亡ぶ——そうなってはならない。〈2009年『ジャーナリズムの可能性』〉
・自由は、手を伸ばしてみて初めて伸ばせる範囲がわかる。今ある自由を百%使いこなそう。〈2011年『ジャーナリズムに生きて』〉
・私は日本人として生まれたわけではない。人間として生まれた。・・・国籍は後からつけられる。「日本人」はフィクションに過ぎない。ジャーナリストは意識の上で、国籍を常に越える努力が必要だと思う。〈2015年『安倍政権とジャーナリズムの覚悟』〉