今週のひと言

なめられる国民、私物化される憲法

 自民党の憲法改正推進本部が憲法改正案の条文案作りを急ピッチで進めている。3月25日の党大会に間に合わせるべくとりまとめたいのだろうが、その質の低さに驚き、あきれてしまう。
 まず、参議院の合区解消のために47条を改正し、3年ごとの改選で各都道府県から「少なくとも一人」を選出できる仕組みに変えるという。最高裁から求められた「一票の格差」是正の要求を平気で放棄する。衆院とほぼ匹敵する権限を弱めるのであればまだしも、そこは目をつぶり、手をつけない。
 教育無償化についても、国が「各個人の経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め、教育環境の整備に努めなければならない」と努規定が入ったが、無償化の実現には具体的な法的手当が必要で、憲法を変える意味はない。
 緊急事態は迷走しているようだが、憲法9条の改正で耳を疑う発言があった。2月5日の衆院予算委員会。希望の党の玉木雄一郎代表が、9条への自衛隊明記が国民投票で否決されたらどうなるか、安倍首相に問いただしたところ、首相の回答は「自衛隊が合憲であるということは明確な一貫した立場であり、自衛隊を明記することが国民投票でたとえ否定されても変わらない」。承認されても否決されても何も変わらない、ということだ。では、何のために850億円もかけて国民投票をするのか。
 もちろん、首相の説明を額面通り受け止めることはできない。新たな条文が加われば、9条2項が無効化してしまう危うさをはらんでいる。それにしても、こんな不誠実かつ非合理な議論がまかり通ることをどう考えたらよいのか。国民がなめられ、憲法までが私物化されているのだ。