今週のひと言

すべてを明らかにしよう、佐川さん

 看過できない動きだ。大阪の学校法人「森友学園」への国有地売却問題で、財務省の決裁文書が改ざんされていたことを巡り、安倍晋三政権や自民党は、全ての責任を辞職した佐川宣寿・前国税庁長官に押し付けようとしている。例えば15日の参院財政金融委員会。安倍首相に近い西田昌司自民党参院議員は「『佐川事件』の真相解明が第一だ」と「佐川事件」と言い放ち、麻生太郎財務相は前長官を呼び捨てにして「この一連の佐川の件」と呼んだと報じられている。
 そもそも国有地売却を巡る疑惑から切り離して、改ざんだけが問題にはなりえない。首相の妻が肩入れしていた特定の学校法人に、通常ではありえないような好条件で国有地が売却されていた。昨年になって露見し、財務省理財局長だった佐川氏は森友学園への特別扱いを否定し続けた。本来は、省内に残っていた決裁文書の通りに答弁すべきだったのにそうしなかった。だからつじつま合わせのために、文書を改ざんせざるを得なくなった。決裁文書の内容が公になって困るのは誰だったのか。今回の改ざんも含めて、森友学園への国有地売却問題の本質は、現在でも少しも変わりがない。首相の妻の肩入れによって、国有地の売却手続きがゆがめられたのではないか、ということ。そして、ウソをつけば、ほころびを取り繕うためにさらに大きなウソをつく、大きな不正に手を染めざるを得なくなることを示しているのが、今回の公文書改ざん問題だ。だれの、何を守るためのウソなのか。佐川前長官に矮小化できる問題ではないことは明らかだ。
 佐川前長官を巡っては、国会での証人喚問の実施が固まっている。この際、佐川前長官に呼び掛けたい。あなただけが悪いのではないはずだ。証人喚問を待つまでもない。この森友学園への国有地売却を巡ってあなたが知ったこと、考えていたことを包み隠さず、勇気を持って明らかにすべきだ。そうすることによってのみ、あなたは憲法15条が「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と定める、公務員としての矜持を保つことができる。このままでは、あなたは切られたしっぽのままだ。