今週のひと言

南北会談を機に「東北アジア非核地帯」つくりへ

 27日午前、2007年以来、11年ぶり、3回目の朝鮮・南北会談が開かれた。李在寅大統領と金正恩委員長が、朝鮮戦争の終結を宣言できるかどうか、南北統一への一歩が築かれるかどうか、期待の会談だ。われわれも、「北朝鮮に騙されるな」といった皮肉な見方だけではなく、戦争終結と南北統一の平和構築への動きとしてとらえたい。
 私たちの隣国・朝鮮は、その巧みな外交術で、古い時代から、大国・中国と陸続きながら、平和を保ち、独自の文化を発展させてきた。日本とも、秀吉の朝鮮出兵など時々の波乱はあったが、室町時代からは、「朝鮮通信使」を通じ、良好な関係を作ってきていた。しかし、19世紀後半に入ると、西欧列強の進出の中で、植民地競争に出た日本が、公然と支配を企て、政権に介入し、皇后を殺害する事件を起こし、施政権をわが物にした。1910年の「併合」は、その支配の「完成」だった。
 1945年日本の敗戦で、本来は戦勝国として主権を回復し、1つの朝鮮が誕生するはずだったが、米ソ対立がそれを不可能にし、1950年には朝鮮戦争が起き、3年後に休戦協定ができたものの、いまなお戦時状態が続いている。
 米軍の出撃拠点だった日本は、韓国を朝鮮半島の唯一、正統な政権と認めて、1965年には日韓条約を締結した。在日の人たちにも、南北の分断が持ち込まれた。やがて、冷戦が終わり、1991年には国連に南北同時加盟が実現した後も、北朝鮮とは国交がない状況を続けている。国交正常化も、拉致問題が明らかになったことで、日本政府は、その解決を条件とし、国民感情もきわめて厳しい状況が続いている。
 しかし、どうだろう。朝鮮半島情勢について、トランプ大統領の尻馬に乗って、「対話のための対話は意味がない」とか「圧力は緩めない」とか言い続け、結局自分では何もできなかった日本だが、今回の会談を機に、国民が求めている日本の平和と安全のために、大きく外交政策を転換し、地域の安全保障を作る方向に進むことはできないものか。
 つまり、それは、単に北朝鮮に核廃棄を迫るだけでなく、朝鮮半島や、遼東半島、沿海州、日本列島、沖縄を含む日本列島、という北東アジア全域の非核地帯を作る方向に、声を上げていくことである。第一、北朝鮮にだけ核放棄を要求し、韓国や日本には非核3原則がある、とはいえ、沖縄への核持ち込みはフリーにしておくというのでは、不公平だし、この「北東アジア非核条約」は、既に何十年も前から提唱されてきたことだ。
 朝鮮が分断されてしまったのには、いま見たように、日本にも大きな責任がある。朝鮮戦争が、休戦から平和条約に移行し、南北統一への道筋ができるとすれば、北朝鮮と日本との国交正常化も果たさなければならない。拉致問題もその中で解決していけるはずだ。
 南北会談を「他人事」ではなく、われわれ自身の問題としてとらえたい。それが、今の時代に生きる私たちの責任ではないだろうか。