今週のひと言

「沖縄のこころ」と平和の詩「生きる」

 沖縄の「慰霊の日」の6月23日、ことしも沖縄県糸満市摩文仁の平和祈念公園で、県と県議会が主催する沖縄全戦没者追悼式が開かれた。
 平和宣言で「戦争の愚かさ、命の尊さという教訓を学び、平和を希求する『沖縄のこころ』を大事に今日を生きています」と、「沖縄のこころ」を強調した翁長雄志知事は、今年5月に、がんとの闘病を公表したばかり。以前にも増して眼光鋭く、気迫がみなぎっていた。名護市辺野古に新基地を造らせないとの決意は県民とともにあり、みじんも揺らぐことはないと表明。「沖縄の米軍基地問題は、日本全体の安全保障の問題であり、国民全体で負担すべきもの」「沖縄の基地の現状や日米安全保障体制のあり方について、真摯に考えていただきたい」と、あらためて沖縄県外の人々に向けて訴えた。
 一方、安倍晋三首相の形だけのあいさつは例年通り。「政府として、基地負担を減らすため、一つ一つ、確実に、結果を出していく決意」と言いながら具体策には触れない。「アジアと日本をつなぐゲートウェイとして、沖縄が日本の発展を牽引する」「この流れを更に加速させるため、私が先頭に立って、沖縄の振興を前に進めてまいります」と、あたかも自身が沖縄のリーダーであると言わんばかりの物言いには違和感しかなかった。
 そんな中で、14歳の中学3年生、相良倫子さんが朗読した自作の平和の詩「生きる」は、戦争を許さない強い思いの一語一語が心に染み入った。
 「あなたも、感じるだろう。/この島の美しさを。/あなたも、知っているだろう。/この島の悲しみを。/そして、あなたも、/私と同じこの瞬間(とき)を/一緒に生きているのだ。/今を一緒に、生きているのだ。/だから、きっとわかるはずなんだ。/戦争の無意味さを。本当の平和を。/頭じゃなくて、その心で。/戦力という愚かな力を持つことで、/得られる平和など、本当は無いことを。/平和とは、あたり前に生きること。/その命を精一杯輝かせて生きることだということを。」
 沖縄戦のことは、地上戦で友人を亡くしたり、家族と離れ離れになったりした曽祖母の体験談をよく聞いていたという。
 日本本土のマスメディアも、読売新聞を含めて比較的大きな扱いで紹介したのに、24日付の産経新聞(東京本社版)は安倍首相のあいさつに紙幅を割き、相良さんものことも、詩「生きる」についても一切触れなかったことは書きとめておきたい。