今週のひと言

「恫喝選挙」と改憲発議

 ・「人事で干されてもいいのか」―安倍首相との会談を終えた岸田政調会長が、不出馬を決めた理由として語られていることば。「石破を応援するな」―西村官房副長官が地元の神戸市議に圧力を掛けた、と伝えられていることば。
 ・「石破を応援するなら、閣僚を辞めてからにしろ」―齋藤農水大臣が同僚議員からいわれたということば。
 ・「投票が終わるまで口を開くな」―小泉進次郎氏が安倍陣営からいわれていたことば。
 カネと生活と因習にとらわれた田舎の選挙か、マンガでクラスを牛耳る悪ガキがやると描かれる、学級委員か生徒会かの選挙ではいざ知らず、いずれも今回の自民党総裁選で、報じられた「圧力」のエピソードだ。
 議員の間で札束か飛び交い、2人からもらうのがニッカ、3人からもらうとサントリーといわれた時代もあった総裁選だが、予備選が導入されて「公明正大な自民党」の宣伝の場になったのも一時期、少なくとも今回は、議論すれば負ける「1強」勢力が、傍若無人に圧力と恫喝を展開した選挙だったらしい。
 石破候補が党員票で45%、議員票で50票を超えたことで、「安倍圧勝」は崩れたというが、総裁に選ばれたご本人はお構いなし。最初の挨拶で「憲法改正を頑張ろうじゃありませんか」と口にした。選挙前、麻生派は「参院選前に国民投票を」とわざわざ要請、新総裁会見で、首相は公明党に公然と改憲への期待をかけた。「臨時国会中に憲法改正案の国会提出や発議は無理」とメディアは言うが、首相があきらめていない以上、あとは「安倍やめろ!」の国民の運動しかない。
 気になるのは、国民投票法と一緒に改正された国会法で、憲法改正原案は、衆議院100人以上、参議院50人以上の議員の賛成で国会に提出できる(国会法第68条の2)こと。憲法審査会では各党派、少なくとも野党第1党が一致しないと…という話になっているが、首相の「議論ばかりしていても仕方がない」「共産党や立憲民主党がいるところでは決められない」という見方からいえば、この条項をどう使って発議に持ち込むか―。楽観は許されない。