今週のひと言

問われるのは本土住民の自覚

 沖縄・米軍普天間飛行場の移設計画を巡り、名護市辺野古の埋め立て承認を沖縄県が撤回したのに対抗して、防衛省は10月17日、行政不服審査法に基づき、国土交通相に審査を請求した。9月30日の知事選で、故翁長雄志・前知事の後を継いで辺野古新基地建設の阻止を掲げた玉城デニー氏が圧勝してから半月余り。玉城氏に安倍首相が会い「県民の気持ちに寄り添いながら、基地負担軽減に向け一つ一つ着実に結果を出す」と表明してから、わずか5日後だ。安倍政権の強圧姿勢は何も変わっていない。沖縄タイムスは18日付の社説で「対話による解決すら拒否する政府に嫌悪感を禁じ得ない」と批判した。
 沖縄に米軍基地が集中しているのは、沖縄の人々が望んだからではない。かつて、日本本土で基地反対運動があり、沖縄に基地が移転していった経緯もある。日本本土の住民は、沖縄の過剰な基地集中の問題の当事者であることを免れ得ない。翁長前知事が「沖縄が日本に甘えているのか、日本が沖縄に甘えているのか」と問い、その後継者である玉城氏が知事選で圧勝したことについて、沖縄の人たちが示したのは安倍政権に対する怒りだけではなかったと受け止めるべきだ。
 知事選後の地方紙の社説では「重ねて考えておきたいのは、本土の住民である私たちの関わり方だ。国内の米軍専用施設の約7割が沖縄に集中する現状に、どう向き合うか。無関心は結果的に『沖縄への基地押し付け』を容認し、民意を無視することにもなる」(西日本新聞)、「本土の私たちが傍観者にならず、沖縄とともに声を上げる姿勢が、政府のかたくなな態度を変える潮流になるはずだ」(中国新聞)などと、「本土」の自覚に触れたものがいくつもあった。本土の日本人も、安倍政権に対して本土で何をなすべきか、何ができるかを考える時期だ。沖縄からは「地方の民意を蹂躙する安倍政権の態度は全国民にとって脅威となり得る。沖縄だけの問題ではない」(琉球新報社説、18日付)との指摘もされている。
 一方で読売新聞、産経新聞は、知事選で沖縄の圧倒的な民意を目にしてもなお、辺野古移設が必要とひたすら主張する。産経は知事選直後、玉城氏に対し「移設を妨げる県の従来方針を改め、国との関係を正常化し、基地負担の軽減を進めていく現実的な立場をとってもらいたい」と求めた。信じがたいことだが、圧勝した候補に公約の撤回を求めた。読売も同じような論調。選挙で示された民意を否定するとは何様のつもりか。マスメディアとして堕落だ。