今週のひと言

記者の質問制限を見過ごしてはならない

 新聞労連が2月5日、声明「首相官邸の質問制限に抗議する」を発表した。東京新聞の望月衣塑子記者が菅義偉・官房長官の記者会見で行った沖縄・辺野古での埋め立て工事に関する質問に対して、首相官邸が昨年12月28日、官邸報道室の上村秀紀室長名で記者クラブに、「事実誤認」「度重なる問題行為」として、「官房長官記者会見の意義が損なわれることを懸念」「このような問題意識の共有をお願い申し上げる」と申し入れたことに抗議する内容となっている。望月記者の記者会見からの排除を記者クラブに求めたに等しく、申し入れは到底受け入れられるものではない。
 この質問制限の申し入れと抗議声明を東京新聞のほか朝日、毎日、さらには安倍晋三政権寄りの報道姿勢が際立つ産経新聞ですらも、扱いの大きさはともかくとして、6日付朝刊紙面で伝えた。共同通信も記事を配信している。だが読売新聞は1日遅れの7日付朝刊。しかも、国民民主党が官邸報道室長から事情を聞いたことを短く報じただけで、新聞労連の抗議声明には触れていない。
 朝日新聞の報道によると、記者クラブ側は官邸側に「記者の質問を制限することはできない」と伝えたという。それは当然のことだが、要請を拒否すれば終わりという問題ではない。こうした要請が政権の中枢である首相官邸から報道側になされたことは、安倍政権には報道の自由とか表現の自由、さらには国民の知る権利を尊重する意思が欠落していることを如実に示している。そのこと自体、社会で共有すべき重要な情報だ。望月記者だから問題なのではない。だれであれ、記者の質問は制限されるべきではない。本来は昨年暮れ、申し入れがあった時点で、各メディアが即座に報じるべきだった。
 記者会見の質問は、記者が国民の知る権利に奉仕するために行うものだ。政権側から不当な干渉があっても「内輪の話。記事にする必要はない」などと考えていると、結果的に政権への忖度の連鎖にメディアも加わってしまうことになる。