今週のひと言

これがジャーナリズムか、読売新聞

 読売新聞の朝刊政治面で「皇位継承のかたち」という連載が2月28日からスタートした。「退位と即位にまつわる儀式の『すがた』はどのような背景で決まったのか。3回に分けて検証する」という。検証とは「実際に調べて証明すること」(広辞苑)だが、読後感を一言でいえば、政府の言い分の引き写し。何かを証明したとはおよそ言えない読み物だ。
 例えば、皇太子の新天皇即位に伴う儀式「剣璽等承継の儀」は、神話に由来する三種の神器のうちの剣爾を持ち込むもので、違憲の疑義が憲法学者らから投げかけられ、大阪高裁判決(1995年3月9日)も「政教分離規定に違反するのではないかとの疑いを一概に否定できない」と指摘している。
 ところが、読売新聞は、①横畠裕介内閣法制局長官が「憲法上問題はない」との見解を示した②皇室経済法で剣爾が「皇位とともに伝わるべき由緒ある物」と位置づけられている——という点のみから、問題はないという結論を導き出している。
 一連の儀式の手続きも、「憲法に基づく国民主権の姿勢の表れ」と手放しで評価する。しかし、前回の「即位正殿の儀」について大阪高裁判決は、「天皇が主権者の代表である海部(俊樹)首相を見下ろす位置で『お言葉』を発したこと、同首相が天皇を仰ぎ見る位置で『寿詞』を読み上げたこと等、国民を主権者とする現憲法の趣旨に相応しくないと思われる点がなお存在することも否定できない」と述べている。しかし、この論点も見事スキップしている。
 そういえば、24日にあった沖縄県民投票の翌日、在京大手紙の朝刊を手にとると、1面トップで扱ったのは、「朝日」と「毎日」で、読売新聞の扱いが最も小さかった。3面の見出しも「投票率52% 広がり欠く」「『反対』最多 影響は限定的」と、県民投票を矮小化しようとする意図があからさまだった。
 これがジャーナリズムか。政府に追随して恥じない、自らの報道を検証することをお勧めする。