今週のひと言

AMラジオ「廃止」でいいのか

 日本民間放送連盟が、現在のAM放送からFM放送に乗り換えることができるよう総務省に制度改正を要望した、と報じられた。現在、多くのAM局が難聴対策や災害対策のために「ワイドFM」としてFMの周波数帯でも同じ番組を放送していること、AMはFMに比べて大規模な送信所どが必要なため設備更新には多額の費用がかかることから、放送事業者の判断でFMに一本化できるよう求めるものだ。2028年の再免許時までの実現をめざすという。
 ラジオ局は確かにどこも経営が苦しく、大規模な設備更新やAM・FMの並行運用がたいへんだ、というのは理解できる。しかし、いきなり「AMラジオをやめます」というのは、多くのリスナーにとって文字通り“寝耳に水”だろう。ツイッターなどで反対の声が沸き上がったのも無理はない。
 FMでも同時放送しているから、と言っても、各地のワイドFMはまだ普及の途上で、周波数の周知も十分ではない。またFMの高周波数帯までカバーできる受信機がなければ聴取できない。ラジオ局の負担軽減のために受信機買い替えをリスナーに強いる、ということでいいのだろうか。
 FM波は波長が短くて送信設備が小さい分、電波の届く範囲がAM波より狭い。このため、遠くまで電波を飛ばすためには中継局を増設しなければならないはずで、これが逆にラジオ局への新たな経営的負担になることも考えられる。
 最近はスマホのラジコアプリで聴いているリスナーも多いと言われるが、災害などの非常時に情報インフラとして頼りになるのは、乾電池でも長時間作動できる小型のラジオ受信機だ。災害の多いこの国で、繰り返しラジオメディアの重要性が確認されてきたことを、放送事業者はどう受け止めているのか。
 広告収入の落ち込みを、人減らしや番組制作費の削減でごまかして、その結果としてラジオ媒体の魅力を自ら低下させてきたツケを、リスナーに転嫁するようなことは許されない。この機会にラジオの魅力を再認識してもらうような、いわばピンチをチャンスに変える発想をラジオ関係者に求めたい。