今週のひと言

天皇制論議をタブーにするな

 4月から5月にかけて「改元・天皇代替わり」の一連のイベントが行われました。この間のマスメディア、とくにテレビはまるでお祭り騒ぎのようだった。NHKは『平成紅白歌合戦』や『ゆく時代くる時代』などと、年末年始を思わせる長時間の特番をはじめ、特別編成で二日間を放送した。
 天皇の交代によって年号を変えるという習慣を残しているのは世界でも日本だけということで、近代国家と天皇制はどのように相容れるのか、また国民主権を掲げる日本国憲法と天皇制はどのような関係にあるのか、国民的な議論を起こす絶好の機会だったが、テレビはただ大騒ぎをするばかりで、せっかくのチャンスをふいにしてしまった。
 まったくメディアに登場しなかったのは、天皇制そのものの是非に関する議論だ。
 戦時中の「慰安婦」問題を追及し、資料収集・展示などをしているアクティブミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」は、退位の日の4月30日に「天皇制は、自由と平和、平等と民主主義に反する制度です。日本の戦争責任、植民地支配責任を果たすためにも、日本人が自らの手で天皇制に終止符を打つ、その歩みをみなさんとともにこれからも進めていきます」とするアピールを発表した。また即位の日の5月1日にも、天皇制を批判する講演会やデモが都内など各地で行われたが、テレビ各局のニュースなどでは触れられなかった。
 天皇制に対する批判があるという事実すら報道されない状態では、天皇制の今後を考えるための冷静な議論は期待できない。実際、天皇制に関する問題はマスメディアではタブーのようになっている。こうした現実が、日本における表現の自由を息苦しいものにしている側面もあるのではないか。天皇制論議をタブーにしてはならない。