今週のひと言

NHK「ネット進出」に注文

 NHKがインターネットに24時間放送と同時に配信できるようにする放送法改正が成立した。ネットも含めた「公共メディア」を標榜するNHKの役割について、あえて問題提起してみたい。
 放送法15条によってNHKは「あまねく放送」の義務を負っている。これは、日本全国どこでもNHKの放送がちゃんと受信できるようにすることを法律で義務付けたものだ。「公共放送」であるNHKは、受信できない地域が残されていることは法的に認められていない、ということで、NHKの各放送局には、民放にはない「受信技術」というセクションがあり、この担当者は放送エリア内の地域を回って、視聴者がNHKの放送波をちゃんと受信できているか確認し、受信状態がよくない場合にはアンテナを増やすなどの対策を講じなければならないことになっている。
 では、インターネットの世界ではどうなのか。インターネットのインフラは民間の通信事業者などによるもので、NHKの受信技術はそこまで関わることはない。通信網の整備にNHKの予算を使うことは、放送法に定められた業務範囲からは想定されていない。
 しかし、ネット上にNHKの番組を提供するだけで「公共メディア」の役割を果たしている、というのは、ずいぶんおめでたい話ではないのか。コンテンツをネット上にアップするだけなら、やっていることは一般のネットユーザーとあまり変わらないのではないか。NHKが「公共メディア」の使命として、たとえば通信インフラ整備にも積極的にかかわって、投資して、災害時にもちゃんとNHKの情報があらゆる回路を通じて届けられる、というような、新しい「あまねく」概念を打ち出してこそ「公共メディア」の名にふさわしい存在になれるのではないか。
 もっとも、政府の言う通りの「忖度」メディアが巨大化するだけなら、そのほうが弊害が大きいかもしれないが。いずれにしても、「公共メディア」概念について、NHKは視聴者に対する説明が足りない。