今週のひと言

元死刑囚の来日

 大逆事件で死刑宣告を受けた朝鮮人運動家、朴烈らの弁護に立ち上がり、戦後の三鷹事件で弁護団長を務めた布施辰治(1880~1953年)の足跡をたどる映画「弁護士 布施辰治」の自主上映がこの夏から始まった。
 関東大震災時の発生した朝鮮人虐殺事件を追及し、日本の植民地支配で苦しむ朝鮮や台湾の人々に寄り添い、大衆の隣人として生きた。そのことを韓国の人々は忘れず、04年には韓国政府から日本人初の「建国勲章」を授与された。「韓国で認められたことが日本での再評価につながった」と孫の大石進さん(75)は語る。
 その韓国から来日した北朝鮮の元工作員、金賢姫元死刑囚(48)が先週、日本の拉致被害者の家族らと面会した。新しい情報はないにもかかわらず、中井洽拉致問題担当は27日の閣議後の会見で「想像以上の成果が得られる可能性がある」とあきれるような発言をした。日本と朝鮮半島に横たわる問題を解決していくには、過去の加害を見据え、わだかまりを解かす地道な外交努力こそ必要だ。