今週のひと言

カジノに激震

 食糧と石油が高騰していた今年7月中旬、本欄でこう書いた。「石油でいえば1バレル140ドルのうち実需で決まる価格は60ドル程度で、残りは投機資金とされる」
 経済事象を断定はできないので、「~とされる」という語尾にした。ところがその後わずか3カ月余で、その推測は正確だったと裏付けられた。7月に1バレル=147ドルの最高値を記録した原油は、リーマンショックなどを経て、10月下旬には60ドル台前半まで下がった。投機資金が逃げ出したためだ。裸になってみると、やはり140ドルのうち約80ドルが投機での値上がり分だった。
 額に汗して働くわけでもない資産家が、右から左へ金を転がし、人々の暮らしの基盤の食糧や石油の値段をもてあそぶ。そんな経済は、どう考えても狂っている。ところが多くの経済記者は、その投資家や経営者を主な取材先にするためか、大して疑問も挟まずに「財テク」を称揚し、「金融工学を駆使したデリバティブ」を持ち上げてきた。「金融商品」などと言えばもっともらしいが、生産とは無縁のマネーゲームのカードにすぎない。そんなカジノ資本主義が、米国発の金融危機で今、ひとまず崩れようとしている。これに懲り、もう少しまともな経済社会をつくろうとするのか、蓋をするだけでまた元の黙阿弥に戻るのか。まずは11月半ばの緊急首脳会議の内容に目をこらしてみたい。