今週のひと言

憲法を活かした社会変革の季(とき)

 自衛隊のイラク派遣をめぐり名古屋高裁が4月17日、航空自衛隊派遣部隊の活動は憲法違反とイラク特措法違反にあたるとの判断を示した。判決の真骨頂は「平和的生存権」について、単なる基本的精神や理念の表明にとどまらず、憲法の保障する基本的人権の基礎にある基底的権利との判断を明確に示したことだ。この判決が確定したことの意味は大きい。判決が派遣差し止めを認めなかったことを理由に居直りを決め込んだ政府は、立憲政治と3権分立をないがしろにしている。
 格差社会、ワーキングプアの広がりとともに、25条の生存権にも注目が集まっている。4月に始まった後期高齢者医療制度にも批判は強い。社会不安、矛盾の高まりが戦争に結びつくことを考えれば、国民の諸権利の筆頭に9条があることの重みがあらためて増す。貧困ビジネスが「民営化された戦争」を支えている米国の実情を描いた堤未香さんの「ルポ 貧困大国アメリカ」(岩波新書)は増刷を重ねベストセラーになった。
 折しも、改憲を社是とする読売新聞の世論調査(4月8日付朝刊掲載)で、改憲に「反対」が43・1%と「賛成」の42・5%を上回った。日本国憲法は5月3日で施行から61年。憲法を活かした社会変革の季(とき)だ。