今週のひと言

自衛隊は何を守るのか

 「憲法違反と言われた私どもにも意地と誇りがある。わが国の信頼回復のため全力を尽くす」。1月24日、インド洋で米軍艦艇などへの洋上給油を再開する海上自衛隊部隊の護衛艦が、横須賀基地を出航。指揮官の一等海佐は、式典のあいさつでこんなことを口にした。「自衛隊は憲法違反」との指摘が今もあることへの不満か、給油打ち切りと再開をめぐる昨年来の政治のごたごたと世論が割れたことへの不満か。しかし、制服姿の自衛官の公式発言としては、「政治」に抵触していることにとどまらず、いくつもの危うさを感じる。
 専守防衛を越えて自衛隊が外国軍隊とともに作戦行動に参加することは、間接的に人命を奪う行為に加担することだ。そのことに苦慮する自衛官がいても、指揮官が「私ども」と言い切ってしまえば、彼、彼女らの良心は行き場所がなくなる。また仮に世論が割れていたとしても、自衛隊が守るべき対象は、割れた世論を抱えたそのままの姿の日本国全体であるはずだ。
 自身が口にした「わが国」のイメージを、この指揮官はどんな風に頭に描いているのかは分からない。しかし発言には、自衛隊のイラク派遣に反対した人々を「反自衛隊的」とひとくくりに敵視して監視していた陸自情報保全隊と同根の危うさがあるように思えてならない。