今週のひと言

前防衛次官の汚職と9条改憲

 防衛省の守屋武昌前次官と特定業者との常軌を逸した癒着ぶりは、これまでに摘発されたどの官界汚職と比べても際立っている。だが、今回の事件の意味は、単に前次官の個人的資質の問題にとどまらない。
 守屋前次官は防衛省(庁)の実力者として君臨し、対米追従政策の小泉政権のもとで米軍再編協議などに辣腕をふるった。その足跡は、自衛隊が米軍を補完する「軍隊」への変容に突き進む道筋にピタリと重なる。癒着の相手は対米ビジネスに力を入れる軍事専門商社、便宜供与の疑いが持たれているのは自衛隊の兵器調達業務。商社内のお家騒動で疑惑が発覚しなければ、癒着と利権の構図はさらに深まっていただろう。
 わたしたちの社会が考えなければならないのは、防衛官僚の品格とか自衛隊の兵器調達の透明性の確保といった次元にとどまらない。自衛隊が軍隊になり、米軍とともに世界中どこへでも戦争をしに行くことの意味そのものだ。今以上に「軍事機密」の不透明性がつきまとい、戦闘能力や装備への米軍の要求(米軍への思いやり予算も含めて)は強まる一方だろう。「産軍複合」の癒着と利権の構図は肥大する。憲法9条をないがしろにすると何が起こるのか、9条改憲をどう考えるかがそういう面からも問われている。