今週のひと言

昭和十九年の足音

 63年前の6月16日、北九州にB29が飛来して八幡製鉄所などが爆撃され、本土が初空襲を受けた。翌7月にはサイパン、グアムと旧日本軍が相次いで玉砕。「昭和十九年は、軍国少年だった自分も、日本の敗戦を肉体で感じ始めたときだった」と劇作家の藤田傳さん(74)は振り返る。
 藤田さんの新作「下弦の夏ー昭和十九年」が新宿南口の紀伊国屋サザンシアターで17日まで上演されている。特高警察の横行や朝鮮人に対するべっ視など、少年時代に目に焼きついた大人たちの行為や記憶をもとに、養老院の人々の語りを借りて当時の日本を再検証。藤田さんは言う。「目先に敵をつくって一致団結しようという風潮。あのころ僕が感じた時代の足音が、いまの日本の社会に似ている」と。
 年金記載漏れ問題などで揺れる安倍内閣。政治基盤の脆弱さから、人々の目をそらせたいかのように「美しい国」を掲げ、「強い国」になるために改憲を唱える。
 惑わされてはならない。戦争をしない国こそ、私たちの求める国なのだ。