沖縄発:現場から

【沖縄発】凍てつく日本政治に喝を

 沖縄も朝晩は冷えてきた。この国の政治もとうとう凍てついてしまった。
 民主党の野田佳彦総理大臣が11月16日、衆議院を解散した。「近いうち解散」発言後3カ月、解散に踏み切らなかった野田首相の態度に自民党ほかが「うそつき」の大合唱。支持率低下に加え、櫛の歯が欠け落ちるように同僚議員の離党が相次ぎ、とうとう衆議院解散に打って出たということか。
 支持率低下の要因は、野田政権ひいては民主党自体にあることは言うまでもないだろう。3年前、自民・公明連立政権に嫌気がさし、政権交代を民主党に託した国民はその民主党政権にことごとく裏切られ、ほとほと愛想を尽かしたということである。
 一方で3年前に下野した自公。解散に追い込み、政権奪還だと意気軒昂だが、果たしてそうなのか。国民から「あなた方の政治はいらない」と退場を強いられたにもかかわらず、総理の座を投げ捨てた人を再び総裁に据え、政権奪還だと言う自民党。これまでの数々の違憲状態をつくり上げてきたのが自民党自身であることを忘れて復権をもくろむ態度は、旧態依然とした政治回帰以外の何ものでもない。
 自民から自公へ、そして民主へといったこの国の政権の流れは、一貫して「沖縄差別」の上にある。沖縄にアメリカ軍の基地を押し付け続け、日米安保がなぜ必要なのかも議論しない。アメリカ軍の兵隊や軍属が沖縄県民に起こす事件事故にも何一つ手だてをしない。事件事故が起きるたびに県民が抗議しても、政府の出先である防衛省沖縄防衛局や外務省沖縄事務所は「遺憾である」と言うだけだ。抗議で訪れる議会や市町村長などに返す言葉は決まって「遺憾」と「承知していない」の二つだ。現場で取材をしていて「この人たちは失語症ではないか」といつも思う。逆にマニュアルにはこの二つの言葉を言うだけでいい、とあるのだろう。
 戦後、銃剣とブルドーザーで奪った土地にアメリカ軍普天間基地を造ったアメリカ軍。「欠陥機」垂直離着陸輸送機オスプレイを強行配備し、自らが示した飛行ルートや夜間訓練時間も完全に無視。人間の受容限度をはるかに超える90デシベル以上の騒音をまき散らしながら巨大なコンクリートの塊を吊り下げての訓練や照明を落としての夜間飛行訓練などまさにやりたい放題が続いている。
 おまけにオスプレイ配備前から基地のゲート前で抗議行動を続ける県民を警察が遮断し、アメリカ軍は警告板を設置していた。警告文は米国法で立ち入りを禁止する文言だ。40年前までの米軍占領時代ならいざしらず、他所の国に来て米国法を掲示するアメリカ軍。主権在民、人権の尊重、恒久平和を柱とする世界に誇るこの国の憲法の上を、軍靴で傍弱無人に歩きまわるアメリカ軍の神経とはいったい何だろう。アメリカ軍の駐留こそがまさに違憲ではないのか。
 日米両政府は「沖縄は憲法の適用外」だとしか考えていないのだろう。沖縄県民の忍耐は限度を超えている。総選挙で大政翼賛政治となって憲法改正となったら、沖縄県民はきっとこう言うだろう。「憲法の第一条に、沖縄は独立して一つの国家を形成する、と書いてほしいね」(鉦)