沖縄発:現場から

【沖縄発】無法地帯で憲法を想う

 昨年末、忘年会で乾杯し、1杯目のジョッキを空けた直後。デスクから電話が入った。嫌な予感は的中。「那覇市で飲酒米兵の車が一方通行を逆走、バイクの男性に衝突してけがをさせた」という。「またか」と悪態をつきながら現場を探しに出ると、店からわずか300mの所だった。
 卑劣極まりない女性への集団暴行事件が10月に起き、米軍が夜間外出禁止、基地外飲酒禁止を発令しているさなかだ。ちょうど前日には現場から100m余りのアパートで、20代女性の部屋をベランダからのぞいた住居侵入容疑で米兵が逮捕された。こんな県庁所在地が、本土のどこにあるだろうか。
 「第2次安倍政権が発足し、改憲の危機が迫っている」。それはそうなのだが、沖縄は戦後68年間、憲法どころかこういう無法地帯の中にある。作家の目取真俊さんら多くの識者が指摘していることだが、あまり浸透しないので繰り返したい。
憲法9条は、日米安保があったからこそ存在できた。「米軍に日本を守ってもらう」代わりに、沖縄の彼ら彼女ら、一人一人の被害者をいけにえとして差し出してきた。
 米軍が昨年10月、垂直離着陸輸送機オスプレイを沖縄に強行配備した後に聞いた、ある女性の言葉が頭から離れない。現場で久しぶりに会い、話しかけようとすると、「取材はもう、本土の人にしてください」と、はっきり拒絶された。もう沖縄は基地はいらないと言っている。残る問いは、本土がどうするかだけだ。基地を引き受けるのか、それとも安保をやめるのか。東京出身のお前は、ここで何をしているのだ?。
 彼女は15年近く、私に普通に接してくれていた。鳩山政権が普天間飛行場の移設先を再び県内に決め、さらにオスプレイが配備され、多くの県民の心の中で針が振り切れた。臨界点を超えた本土への怒りを、肌で感じている。保守系で官僚出身の仲井真弘多知事さえ、「差別」を指摘している。
 墜落を繰り返してきたオスプレイは、きょうも県民の頭上を飛ぶ。その恐怖を訴え、日米両政府に配備撤回を求めるため、1月27日に100人以上の大要請団が東京に行く。本土ではあまり報じられていないと思うが、沖縄の全市町村の首長や議長、自民党から共産党までの県議も参加する、空前の規模だ。午後3時45分に日比谷野外音楽堂を出発して、銀座をパレードする予定。近くの方はまず一緒に歩いて、憲法と安保と沖縄を考えてみませんか。(岳)


【写真説明】オスプレイ配備に抗議する座り込みで、普天間飛行場のゲートを封鎖した市民。排除する警官と市民の双方から、「なぜ県民同士が争わなければならないのか」との嘆きが漏れた=2012年9月27日、沖縄県宜野湾市