東北蔑視発言と沖縄差別

    2017/04/29

     復興相だった今村雅弘衆院議員が4月25日、所属する自民党二階派の会合で、東日本大震災の被害に触れる中で「25兆円という数字もある。これがまだ東北で、あっちの方だったから良かったけど、これがもっと首都圏に近かったりすると莫大な、甚大な被害があったと思っている」と発言した。死者、行方不明者と関連死を合わせて、2万人以上が犠牲になった地を指して「あっちの方」と呼び、「だから良かった」とは、問わず語りに東北蔑視を白状したに等しい。「ついうっかり」の失言ではない。本人に自覚はなさそうだが、根っからの差別意識がなければ出てこない言葉だ。更迭は当然だし、復興相どころか国会議員としての資質を欠いている。
     安倍晋三首相の動きはすばやく、発言を知るや菅義偉官房長官と協議し、即座に今村氏の更迭を決めたと報じられている。だが恐らくは、犠牲者や被災者に真に申し訳ない気持ちを抱いてのことではないだろう。今村氏は今回の発言の前にも、東京電力福島第1原発事故で自主避難した人たちについて「本人の問題」、つまりは自己責任であると言い放って批判を浴びたが、首相は任にとどめていた。今回は2度目の問題発言で、放置して批判が自らに向かってくることを恐れた。
     差別意識に根差す「〜でよかった」との発想は、東北に対してだけではない。安倍政権でもっとも強く表れているのは沖縄に対してだ。「米軍基地は沖縄で、あっちの方でよい」ということだ。今村氏の発言を安倍首相が謝罪した同じ日、この政権は米軍普天間飛行場の移転先と定める沖縄・辺野古で、埋め立て作業着手を強行した。沖縄県との話し合いの姿勢を持とうともしない。現地の抗議行動には本土の機動隊を投入して弾圧し、リーダーの身柄を微罪で長期間拘束するなど、強権ぶりに拍車が掛かる一方だ。だが、このあからさまな沖縄差別に対して、日本本土の世論が沸騰することはない。安倍首相が沖縄に謝罪することもないだろう。それでいいのか。