今週のひと言

東北蔑視発言と沖縄差別

 復興相だった今村雅弘衆院議員が4月25日、所属する自民党二階派の会合で、東日本大震災の被害に触れる中で「25兆円という数字もある。これがまだ東北で、あっちの方だったから良かったけど、これがもっと首都圏に近かったりすると莫大な、甚大な被害があったと思っている」と発言した。死者、行方不明者と関連死を合わせて、2万人以上が犠牲になった地を指して「あっちの方」と呼び、「だから良かった」とは、問わず語りに東北蔑視を白状したに等しい。「ついうっかり」の失言ではない。本人に自覚はなさそうだが、根っからの差別意識がなければ出てこない言葉だ。更迭は当然だし、復興相どころか国会議員としての資質を欠いている。
 安倍晋三首相の動きはすばやく、発言を知るや菅義偉官房長官と協議し、即座に今村氏の更迭を決めたと報じられている。だが恐らくは、犠牲者や被災者に真に申し訳ない気持ちを抱いてのことではないだろう。今村氏は今回の発言の前にも、東京電力福島第1原発事故で自主避難した人たちについて「本人の問題」、つまりは自己責任であると言い放って批判を浴びたが、首相は任にとどめていた。今回は2度目の問題発言で、放置して批判が自らに向かってくることを恐れた。
 差別意識に根差す「〜でよかった」との発想は、東北に対してだけではない。安倍政権でもっとも強く表れているのは沖縄に対してだ。「米軍基地は沖縄で、あっちの方でよい」ということだ。今村氏の発言を安倍首相が謝罪した同じ日、この政権は米軍普天間飛行場の移転先と定める沖縄・辺野古で、埋め立て作業着手を強行した。沖縄県との話し合いの姿勢を持とうともしない。現地の抗議行動には本土の機動隊を投入して弾圧し、リーダーの身柄を微罪で長期間拘束するなど、強権ぶりに拍車が掛かる一方だ。だが、このあからさまな沖縄差別に対して、日本本土の世論が沸騰することはない。安倍首相が沖縄に謝罪することもないだろう。それでいいのか。


危機にさらされる「憲法くん」

 〈へんなうわさを耳にしたんですけど、ほんとうですか。わたしがリストラされるかもしれない、というはなし。わたし、憲法くんが、いなくなってもいい、ということなのでしょうか〉
 芸人の松元ヒロさんのひとり芝居「憲法くん」が初演から来月で20年を迎える。松元さんが、前文と103条の細胞からなる「憲法くん」という人物になりきって、成立の経緯やその意義、憲法とその他の法律の違いなどをやさしい言葉で解説する。
 コント集団「ザ・ニュースペーパー」時代の1997年、5月の憲法記念日にちなんだイベントで初披露した。一回限りのつもりだったが、作家の井上ひさしさんに「感動した」と絶賛され、翌年に独立した以後も、あちこちで上演を続けてきた。
 その間、護憲派と改憲派がせめぎ合ってきたが、「第二次安倍政権になって、これまでにない危機感を抱く」と松元さんは話す。その理由の一つが「共謀罪」だ。
 トランプ政権となった米国では今月、米軍がシリア・アサド政権の空軍基地を巡航ミサイルで攻撃。さらに北朝鮮への外交圧力を強めるなど軍事的緊張感が高まっている。それに呼応するように日本では、計画の段階で組織犯罪を処罰できる「共謀罪」の要件を改めた「テロ等準備罪」の創設を盛り込む組織犯罪処罰法改正案が国会で審議入りした。ジャーナリストの金平茂紀さんは4月に東京であった日本ペンクラブ主催の集会で「まだやっていないことが取り締まりの対象になる。内面の自由、プライバシーが脅かされるどころか(権力側に)際限のないフリーハンドを与える監視社会ができあがる」と指摘した。
 松元さんがふんした「憲法くん」は最後にこう語る。〈わたしをどうするかは、みなさんが決めることです。わたしは、みなさんのわたし、なんですから〉
 この国の未来を決めるのは主権者である市民であることを忘れてはならない。


「ポスト真実」と教育勅語、共謀罪

 米国のトランプ政権の誕生によって、世界中に「ポスト真実」という言葉が広がった。安倍政権下の日本も深刻な事態にある。
 森友学園問題でにわかにスポットが当たり始めた教育勅語をめぐり、政権は「憲法や教育基本法等に反しないような形で教材として用いることまでは否定されることではない」という答弁書を閣議決定した。
 天皇主権下の神権的な国体論と結びついた教育勅語は、国民主権の日本国憲法に明らかに反する。教材として教えるとすれば負の歴史の素材として使うほかないが、政権は基準を明らかにしないばかりか、義家弘介・文部科学副大臣にいたっては、幼稚園などの朝礼で教育勅語を朗読することを「問題ない」と言い切る。本音が出ているということだろう。報道によると、「けがの功名」と喜んでいる日本会議関係者もいるそうだ。
 まともに考えれば憲法違反だけど、何が悪い。支持率は下がっていないだろ——そんな政権中枢の声がどこかから聞こえてきそうで、めまいを覚える。
 「戦争法」の時もそうだった。
 集団的自衛権を認めていないという政府解釈を180度覆したにもかかわらず、法的・論理的整合性がとれているとして、解釈改憲と認めない。あげくに、砂川事件最高裁判決が集団的自衛権を容認しているという驚くべき屁理屈を持ち出し、正当化した。
 これまで黒だったといっていたものを、平気な顔で白という。ジョージ・オーウェルの「一九八四年」が売れているそうだが、徹底的な監視と、都合の悪い事実を消し、権力者側の意向で「真実」が決められる状況が、私たちの目の前にある。
 共謀罪が審議入りした。ポスト真実と監視によって生まれるのは、全体主義の社会である。メディアにはその危うさに対する自覚が足りない。


復興大臣記者会見録から

(一部抜粋。全文はhttp://www.reconstruction.go.jp/topics/17/04/20170405115121.html

福島からの自主避難者をめぐる質疑応答の最後の部分から。
 …
(問)帰れない人はどうするんでしょうか。
(答)どうするって、それは本人の責任でしょう。本人の判断でしょう。
(問)自己責任ですか。
(答)えっ。
(問)自己責任だと考え……。
(答)それは基本はそうだと思いますよ。
(問)そうですか。分かりました。国はそういう姿勢なわけですね。責任をとらないと。
(答)だって、そういう一応の線引きをして、そしてこういうルールでのっとって今まで進んできたわけだから、そこの経過は分かってもらわなきゃいけない。だから、それはさっきあなたが言われたように、裁判だ何だでもそこのところはやればいいじゃない。

(中略)

(問)自主避難の人にはお金は出ていません。
(答)ちょっと待ってください。あなたはどういう意味でこういう、こうやってやるのか知らないけど、そういうふうにここは論争の場ではありませんから、後で来てください。そんなことを言うんなら。
(問)責任を持った回答をしてください。
(答)責任持ってやってるじゃないですか。何ていう君は無礼なことを言うんだ。ここは公式の場なんだよ。
(問)そうです。
(答)だから、何だ、無責任だって言うんだよ。
(問)ですから、ちゃんと責任……
(答)撤回しなさい。
(問)撤回しません。
(答)しなさい。出ていきなさい。もう二度と来ないでください、あなたは。

 …(以上)

「責任持った回答をしてください」と問うことが、そんなに「無礼」なことなのか。
今、復興大臣の辞任を求めるウェブ署名が、避難者・支援者有志によって呼びかけられている。

 

復興大臣の辞任を求めます(ウェブ署名)
https://www.change.org/p/復興大臣の辞任を求めます


森友学園問題の本質

 共謀罪法案も秘密保護法の年次報告や憲法審査会もある中で、永田町は森友問題の紛糾が続いている。自民党は籠池理事長の偽証とか、辻元清美議員の言動とかを持ち出し、ただ問題を逸らして、「首相夫人」を守ろうと必死だが、問題が出ていながら、きちんと議論されていないのが、憲法違反の「教育勅語」とその「擁護政権」のことだ。
 土地売買での「官僚の忖度」を引き出したこの問題、その本質は、教育勅語を暗唱させるような幼稚園ができ、そこが右翼賛美の小学校を造ろうとした、という問題だ。その「方針」に、首相も首相夫人も共感してやってきた。それが、閣僚や官僚を巻き込んだスキャンダルに発展した。
 ついでに書くと、かつての学校ではもちろん教育勅語が教えられたが、それは小学校4年生くらいからで、低学年には森友学園のような暗唱はなかったはずだ、という。
 大阪府政も握った中でうまくいっているはずだったが、首相は日和り、苦労して右翼・国家主義教育の先頭に立ったつもりだった籠池を裏切った、「許せるか」と一方は怒り、もう一方は、何とかせっかく自分たちが手にした政権の維持を図りたい。そのために、「首相夫人付き」などという官職も作り5人もの人手も割いたのだ。もしかして、右翼勢力の中で、「大分裂」が起きているのではないか―。
 はっきりしているのは、この人たち、戦争の惨禍の結果生まれた日本国憲法を破壊し、戦争ができる国づくりを目指し人権より国家を優先することで共通している人たちだ。物言えぬ監視国家つくりを進め、国民の思想を支配するために、教育の国家主義化を進めて、一方では秘密保護法をつくったり、共謀罪をつくったりしようとしていることだ。
 教育勅語は言うまでもなく、いいことも言っているように見える徳目の羅列ではなく、「一旦緩急あれば義勇公に奉じ、以て天壤無窮の皇運を扶翼すべし」と、天皇制国家のために「臣民」を動員することを命じたもので、戦後の国会は衆参両院で「排除」「失効確認」の決議がされたものだ。自民党は改憲草案で「天皇元首化」を掲げている。
 森友学園問題は憲法と国の在り方に密接につながった問題である。


首相夫人の威光

 今春の開校を目指していた系列小学校用地の国有地取得を巡る疑惑で、学校法人「森友学園」の籠池泰典理事長の証人喚問が3月23日、衆参両院で行われた。小学校は安倍晋三首相の昭恵夫人が名誉校長に就任し、寄付金集めの際には「安倍晋三記念小学校」を掲げていた。参考人招致にすら及び腰だった自民党が一転、籠池氏の喚問に乗り出したのは、籠池氏が「安倍首相から100万円の寄付を頂いた」と言い出したことに大慌てし、「籠池氏はウソつき」と印象操作するためだったのだろう。だが籠池氏は、昭恵夫人付きの政府職員から、国有地の定期借地契約について財務省に問い合わせた結果などをファクスで知らせてもらう便宜供与を受けていたことを暴露。ファクスの記録は菅義偉官房長官も認め、その日のうちに内容を公表せざるをえなかった。
 首相側は、財務省への問い合わせに昭恵夫人本人は関与しておらず、その内容にも違法性はなく一般的な事項だなどと主張して、首相や昭恵夫人は国有地取得には無関係だと強調する。だが、そんな言い訳が通るだろうか。昭恵夫人付きの政府職員が動けば、接する相手は昭恵夫人の意向と受け止める。仮に昭恵夫人と政府職員の間に明白な指示がなかったとしても、昭恵夫人の威光は絶大だろう。籠池氏は昭恵夫人の意向ないしは威光を得て、財務省の動向を確認し、情報を入手していた、というのがこのファクスの1件が持つ意味だ。そして、この小学校用地の1件は昭恵夫人の意向、ないしは威光が付随した案件として、財務省や関係省庁で特別に意識されていたであろうし、そういう環境の中で国有地が大幅に値引きされていたことこそが、今回の疑惑の核心だ。
 100万円の寄付話を始めとして、籠池氏のその余の証言が仮に真偽不明のままだとしても、このファクスの一事をもってして、昭恵夫人、さらには安倍首相の政治倫理上の責任は免れ得ない。安倍首相側は強弁を続けるのかもしれないが、民意は納得するだろうか。


共謀罪にNO

 「南スーダンへの自衛隊派遣や森友学園を巡るスキャンダル、共謀罪の趣旨を盛り込むテロ等準備罪。こんな政治に私たちは声を上げずにはいられない」――。
 ライトアップされた国会議事堂の前に、若者らが再び結集した。「SEALDs(シールズ)」の元メンバー、溝井萌子さん(21)らが結成した新団体「未来のための公共」が17日夜、東京・永田町で開いた初集会。参加者が掲げたプラカードには、「NO WAR」など、戦争や平和に対するメッセージとともに「残業100時間の世界で大丈夫?」「助け合って暮らしたい」といった切実な内容が目立った。
 政府は、来週にもテロ等準備罪の新設法案を閣議決定する見通しだ。3年後に迫る東京五輪やパラリンピックを背景に「テロ対策」として監視体制を強める国家。まさに戦前の治安維持法を想起させる。同法は国体の変革と私有財産制度の否認を目的とした宣伝などを禁止したが、1925年の成立から3年後には、目的遂行罪が追加され、共産党と接点がなくとも弾圧を受けるなど権力の乱用が横行した。女性報道写真家の草分けで、現在、102歳の笹本恒子さんは「当時は、ちょっと目立つ言動や格好をしているだけで特高(特別高等警察)に監視された」と振り返る。
 「シールズ」は安全保障法制の成立前後に活発に活動した。「未来のための公共」は、若者や「ママさん」ら子育て世代を含む幅広い世代が「政治を語り合う場をつくろう」と呼びかける。
 「私たちはどんな国を求めているのか」。それぞれが考え、行動しなければこの国は決して変わらない。「話し合うことが罪になる」。そんな国に再び戻ってはいけない。


罷免に値する稲田氏の「教育勅語」発言

 運営する幼稚園で教育勅語を素読させている学校法人「森友学園」をめぐるスキャンダルが連日報じられる中、閣僚の驚くべき発言が飛び出した。稲田朋美防衛相が8日の参院予算委員会で、教育勅語について「日本が道義国家を目指すというその精神は今も取り戻すべきだと考えている」と述べたのだ。
 稲田氏は言う。「教育勅語の精神である日本が道義国家を目指すべきであること、そして親孝行だとか友達を大切にするとか、そういう核の部分は今も大切なものとして維持をしているところだ」。「教育勅語が戦前、国民の道徳の規範になって問題を起こしたという意識はあるか」との福島みずほ氏の問いには、「そういうような一面的な考え方はしていない」と答えた。
 時代錯誤ではすまされない。大臣罷免に値する発言だ。
 ①1948年6月、「根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基づいている事実」があることなどを理由に衆参両院の決議で排除と失効が確認されている。
 ②「親孝行」「友達を大切にする」を教育勅語の「核」だと稲田氏は言うが、違う。こうした社会通念を皇祖皇宗の遺訓として説くことで、天皇絶対観念を社会に定着させることが「核」にほかならない。
 ③教育勅語を起草した井上毅ですら、立憲主義や政教分離の観点からもともとは慎重な立場を取っていた。
 ④「一旦緩急アレハ義務公ニ奉シ」と自己犠牲の精神が強要され、神権的な国体論と結びついて国民を軍国主義に駆り立てていった歴史がある。
 罷免の理由はまだまだあるが、歴史を振り返れば、天皇主権下の教育勅語が国民主権を掲げた日本国憲法と相いれないのは明らかだ。稲田氏の発言は、憲法尊重擁護義務にも反する。
 メディアの反応は鈍い。森友問題と並んで、徹底的に追究すべきだ。


JK反戦論

大学受験真っ最中の女子高生と、その父親の会話から――。

娘「日本史の勉強してると、なんか戦争ばっかりで、本当にいやになる」
父「まあ、そういう出来事は、とりあえず暗記するしかないよね」
娘「戦争して、条約結んで、また戦争して、条約結んで…。そういうのばっかりじゃない? 天津条約なんて、同じ名前で二つもあるんだよ? 1858年と1885年と。アロー号事件と日清戦争だったっけ…違ったっけ…」
(注:正確には、1885年には日清間と清仏間の二つの「天津条約」があるようです。だから「天津条約」は合計三つあるようです)
父「まあ、条約っていうものは、結ばれたところで名前をつけるからね…」
娘「戦争なんてするから、覚えなきゃいけないことが増えるんじゃないの! 平和に過ごしていれば、何もなくていいから覚える必要もないのに…。それを暗記して受験する私の身にもなってよ! どうしてみんなもっと平和にできないの?」
父「そういう理由で戦争に反対するのか…可笑しいね(笑)」
娘「何が可笑しいの!(怒)」


ウソは戦争の始まり

 子どものころ、「ウソは泥棒の始まり」という言葉があった。「ウーソついたら、針千本の飲ーます」というのもあった。いまはどうか―。
 ・自衛隊イラク派遣の日報の開示を求めたら、「廃棄した」と回答があった。現場の部隊がそんなことするかな、と疑問があったが、やっぱり「ウソ」だった。バレて国会で追求され、防衛大臣はしゃーしゃーと「戦闘という言葉は憲法に触れる恐れがあるので使っていない。衝突だ」と答弁した。昔も「事変」と言って「戦争」を隠した。
 ・沖縄でも、学校で生徒が先生に「反対して座り込みやったりする人って、日当もらってるんでしょう?」と聞くそうだ。「ニュース女子」がばらまいた「捕まっても大丈夫なシルバー部隊を作って全面に立たせている」「農地にも行けないし、救急車が入れなかったことがあった。取材もこれ以上行くと危険」など、みんなウソ。ウソをばらまいて新聞社の論説副主幹を名乗る男など記者の資格はない。「言論の自由」とは「ウソを言う自由」ではない。新聞に傷がつく。
 ・世論調査のウソ。朝日は共謀罪について「政府は過去3度廃案になった『共謀罪』の法案の内容を改め、組織的な犯罪について、準備の段階から取り締まる『テロ等準備罪』を設ける法案を、今国会に提出する方針です。この法案に賛成ですか」と聞いて賛成44%を引き出した。朝日の世論調査。「共謀罪の内容は以前と同じ」「『テロ等準備罪』の名称に根拠はない」という事実は明らかになっているのに、政府の説明を鵜呑みにした質問に賛成が多いのは当たり前だ。
 ・産経によると、11月にトランプと会った安倍は「私とあなたには共通項がある。あなたはニューヨークタイムスに叩かれた。私も朝日に叩かれた。だが、私は勝った」と言った。すると、トランプは親指を立てて、「私も勝った」と言ったという。朝日にとっては、名誉に関する大問題だ。早速、「ファクト・チェック」を!
 「フェイク・ニュース」も「ポスト・トゥルース」も、何も目新しいことではない。要するに「ウソが罷り通る風潮」に「ウソがはびこる」という話。そんなものに市民権を与えてはならない。