今週のひと言

いまこそ、メディアスクラムを

 腐ってもNHK。そう思わせたのが、19日午後10時からの「クローズアップ現代+」の加計学園・獣医学部新設問題をめぐる新文書の報道だ。
 文書のタイトルは「10/21萩生田副長官ご発言概要」。「官邸は絶対やると言っている」「総理は『平成30年4月開学』とおしりを切っていた」と、安倍晋三首相の側近、萩生田副長官が文部科学省の高等教育局長に語ったとされる生々しい発言が記録されていた。獣医学部新設に官邸が深く関与したことを伺わせる決定的な内容だ。
 しかも、報道のタイミングも絶妙だ。この日の夕方、国会閉会にあたって安倍首相が記者会見し、「今後、何か指摘があればその都度、真摯に説明責任を果たしてまいります」と発言した直後のことだった。
 興味深いのは、この報道が「ニュース7」や「ニュースウオッチ9」という通常のニュース番組の枠で流されなかったこと。実は、1カ月前にこんなことがあった。朝日新聞が5月17日朝刊で「新学部『総理の意向』との見出しのスクープ記事を1面トップで報じた。文部科学省が、特区を担当する内閣府から「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」と言われたとする記録が文書で残っていたとする内容。ところが、NHKも前日夜、同じような文書の存在を報じながらが、「官邸の最高レベル」が黒塗りにされていたのだった。
 真相は不明だが、社会部の特ダネをNHK上層部によって黒塗りが指示され、あいまいな報道になった、とささやかれている。今回の見事な特ダネは、現場の記者たちのリベンジではないか、と思えてくる。
 NHKのWEB特集「加計 “新文書”の持つ意味は」で、担当者は「今回の問題の本質は獣医学部新設の選定プロセスが適切であったかどうか」と明快だ。選定プロセスを明らかにするのは、人々の知る権利に応えるジャーナリズムの役割であり、組織を超えて共闘できるはずだ。現場の記者たちは意地を見せよ。今こそ、真のメディアスクラムが求められている。


たたかいは始まったばかり

「共謀罪」法案が6月15日の早朝、前夜から開会されていた参議院本会議で採決され、可決・成立とされた。法務委員会での審議・採決を省略する「本会議への中間報告」という姑息な手段を講じて、国会を早々に閉会し、森友学園・加計学園をめぐる安倍首相周辺の疑惑追及をかわそうという卑怯極まりないやり方だった。
 この「共謀罪」をめぐっては、ご存知の通り国際的にも関心が高まっている。英国のタイムス、仏国のルモンドなど海外のメディアもしばしば報じているが、大きな注目を集めたのは国連の「プライバシーの権利」特別報告者、ジョセフ・カナタチ氏(マルタ大教授)が日本政府に書簡を送ったことだろう。
 カナタチ氏は、「共謀罪」がプライバシーや表現の自由を過度に制限する恐れが強いことから「絵を壁に飾るための釘を打ちこむのに、巨大なハンマーを使うようなもので、壁そのものが壊れてしまう」と批判した。このようなカナタチ氏の懸念に対して、日本政府は質問に答えるどころか抗議文をもって返答するという暴挙に出た。それを見たカナタチ氏は「日本からの反論には内容がない」として、再度回答を促すメッセージを送っている。
 そのカナタチ氏は、インターネットを通じて行った日弁連のシンポジウムの中で、次のように語っていた。
「法律が通ってしまっても、まだ始まったばかりだ。引き続きやっていきたい。日本の人々は民主主義を享受し、基本的人権を享受する権利がある。辛抱強く働きかけたい。数週間で終わることではなく、数ヶ月、数年、永続的に関わることかもしれない。でも、私自身も関わっていこうと思う」


官僚の矜持

 森友、加計の「アベトモ」事件を見て、つくづく思うのは、いったい日本の官僚は、いつからこんなにひどくなってしまったか! ということだ。
 「官僚制度の弊害」が言われ、「政治主導」が言われているころはまだよかった。それがいつの間にか、官邸の体制強化になり、人事局の創設になり、大統領制の米国をまねて、「官邸独裁」になった。「最高幹部の意向」「総理の意向」が振り回され、ルールも民主主義も壊され、上目遣いのエリートだけが出世する仕掛けになったらしい。
 いまの官邸。内閣官房長官のもとに、副長官が3人、補佐官が5人、副長官補が3人、総理大臣秘書官は7人、内閣府に大臣がいて、副大臣が3人、審議官2人、政務官3人…。そして大きいのは、人事局が各省庁の幹部人事を一手に握ったことだ。刃向かいそうな次官は退庁後も監視され、スキャンダルをでっちあげ、帰国命令で悶々とした総領事は、私的会話が漏れて更迭。公安警察が公然と動いている。
 「いつの間にか」と書いたが、いまの安倍政権の官邸は、このチームが一体となって機能している、という(田崎史郎「安倍官邸の正体」2014年講談社現代新書、西田亮介「メディアと自民党」2015年角川新書、大下英治「安倍官邸『権力』の正体」2017年 角川新書など)。首相にとっては、たぶん素晴らしい、居心地のいい状態な のだろう。
 すくなくとも、少し前の官僚たちには、「自分たちが国を支えている」という自負と、「だから間違わないように…」という、「矜持」があった。上司に「忖度」して何かをするのではなく、それなりの専門性や、社会に対する責任感から、意見も言い、政治を陰で動かした部分もあった。ところが、いまは、どうだ? 物言わぬ官僚の下で、物言わぬ大臣ができ、政治が歪んでゆく。資料を全部捨ててしまって平気な理財局長、打ち合わせ内容も都合が悪いと見つからなくて平気な大臣、首相夫人に5人の役人をつけて「私人」と言い張って平気な内閣…。
 いま、官僚はその生き方を歴史と道理から問われる時代ではないか。


読売新聞「出会い系バー通い」記事の異常さ

 これでは権力の「御用」と呼ばれても仕方がないのではないか。加計学園問題と前川喜平・前文部科学次官を巡る読売新聞の記事のことだ。
 安倍晋三首相の「腹心の友」とされる理事長が率いる学校法人の大学獣医学部新設を巡って、筋を曲げた便宜があったのではないか、との疑惑が取り沙汰される中で、内閣府から「総理の意向」として早期の開学を求められたことを記した文科省の内部文書が明るみに出た。菅義偉官房長官が「怪文書」などと否定に躍起になっているさなかの5月22日、読売新聞朝刊に社会面準トップで「前川前次官 出会い系バー通い/文科省在職中、平日夜」との記事が載った。売春や援助交際の交渉の場になっている店に頻繁に出入りしていることが分かったとして「教育行政のトップとして不適切な行動に対し、批判が上がりそうだ」と断じた。
 前次官は25日に会見し、文書が文科省に存在していたことを明言。読売も26日付朝刊1面で報じたが、社会面では会見記事の脇に「出会い系バー通い『実地調査』」の4段見出しを立て、女性の貧困問題に対する実地調査との前次官の説明を紹介しながら「店の関係者によると、前川氏は約2年前から頻繁に通い、女性と値段の交渉をして、店外に連れ出したこともあったが、昨年末頃から急に来店しなくなったという」と書き、教育評論家の「言い訳としてはあまりにもお粗末」とのコメントまで載せた。
 「出会い系バー通い」の情報源について、週刊誌などでは首相官邸サイドのリークだとの指摘が出ているが、真偽不明の情報を抜きに紙面だけを見ても、問題は大きい。記事は前次官が買春や援助交際を繰り返していたことを事実として指摘しているわけではないのに、何の値段かを明示せずに「値段の交渉をしていた」などの表現を盛り込んでおり、買春などの行為をしていたかの印象を読む者に与えかねない。前次官が会見で目的を説明してもなお、同じような記事を繰り返し載せた。そもそも刑事事件になる見通しもないのに、プライベートな時間の過ごし方を一方的に批判する記事をこんなに大きく扱うのは異常だ。
 結果として読売の記事によって、前次官は買春や援助交際の常習者だったと受け取る人がいれば、喜ぶのは誰だろうか。もしも、そうした「印象操作」が記事の狙いだとすれば「謀略」に等しい。
 もう一つ驚いたことに、前次官の会見で読売の記者は、前次官が文書の存在を明言したことに対し「守秘義務違反に当たらないかという指摘もされると思うんですけど」と質問したという。毎日新聞の与良正男専門編集委員が紙面のコラムで明らかにしている。与良氏も書いているように、それが公正な社会の実現のために必要なら、守秘義務の壁は乗り越えなければいけない。情報源を守りつつだ。それが記者の仕事のはずだ。


首相の暴走を見過ごすな

 米映画「ウォー・マシーン:戦争は話術だ!」のオンラインによる配信が26日、世界約190カ国で開始された。世界最大級の映像配信サービス「Netflix」(本社・米国)のオリジナル作品で、映画に主演する俳優のブラッド・ピットがCEOを務めるプロダクション「Plan B」が製作を手がけた。駐アフガニスタン米軍司令官だった、スタンリー・マクリスタルに密着したルポルタージュ(マイケル・へイスティングス著)をもとに脚色。現代の戦争の不条理を風刺にまぶし、コメディータッチに仕立てた。
 「この作品は反戦映画。そして反体制映画でもある」。プロデューサーの一人で、ブラッド・ピットらとともに来日したデデ・ガードナーさん(49)は言い切る。折しも、東京でイベントがあった23日の夜、「共謀罪」法案が衆院を通過した。「アフガン戦争も反テロを掲げたものだった。けれども、それで犠牲になった人々、無辜(むこ)の民に与えた被害は計り知れない。日本のみなさんにもぜひ、この映画を通して戦争について考えてほしい」と強調した。
  ◇             ◇
 政府は、従来の「共謀罪」の名称を「テロ等準備罪」と変えて国会に法案を出してきた。立法の理由は国際組織犯罪防止条約の締結だったはずだが、同条約の目的にはテロ対策は含まれておらず、衆院の審議でこの点を指摘されると答弁の内容はぐらぐらと揺れた。「内心の自由」の問題をめぐっても答弁は二転三転。それでも採決に踏み切るのだから、与党、あるいは首相の暴走としか言いようがない。
 法案の審議の場はこれから参院に移るが、市民の無関心が最もこわい。「共謀罪」が成立すればどうなるのか、この国がどんな状況にあるのか、一人でも多くの人に伝えることがメディアの責務だ。


「壊憲」の危機とメディアの罪

 いま私たちが目撃しているのは何か。
 ▽「思想・信条」の自由を侵し、憲法違反の疑いさえある「共謀罪」法案が19日午後、大臣の答弁がしどろもどろという状況下で、衆院法務委員会で強行採決された。
 ▽「加計学園」の獣医学部新設計画をめぐり、内閣府が文部科学省に「総理の意向」だと伝えた記録が文書に残されていたのに、「怪文書」(菅義偉官房長官)などと問題をすり替え、政権側は説明を拒む。
 ▽「森友学園」国有地売却問題で、財務省が野党議員に提出した資料にある設立趣意書のタイトルや内容が記された部分が黒塗りだった。
 ▽衆院厚生労働委員会では森友学園への国有地売却問題について民進党議員が安倍首相に質問すると、「法案と関係ない」と反発した与党が採決を強行した。
 ▽憲法改正原案の発議権のない行政の長のトップである首相が、発議権を持つ国会の頭越しに、2020年と時期を区切って憲法改正の提案をした。
 数え上げればきりがないが、この1カ月に起きていることだけをみても、日本の憲法秩序は壊れかけているということが明白だ。
 「共謀罪」法案で憲法違反の指摘を受けても顧みようとしない政権の姿勢は、「法の支配」の逸脱である。疑惑を指摘されての委員会の強行採決は、委員の質問権を奪うもので、議会制民主主義への攻撃である。安倍首相の改憲メッセージから浮かぶのは、国民世論はそっちのけで、何が何でも改憲したいという憲法の「私物化」である。
 メディアは「壊憲」の危機を主権者国民に伝えているのか。とりわけ、「テロ等準備罪」と偽りの看板をたれ流し続ける一部メディアの罪は重大だ。


誰かこんな「ぶら下がり」してくれませんかⅡ

「ソーリ、すみません、『政治的公平ニュース』の浪野幸平です。憲法改正について『読売新聞を熟読してほしい』と言われて、熟読したけどわからなかったんですが、あれは自民党総裁としての発言だったとしても、9条1項2項はそのままにして自衛隊を位置づける条項を追加するって、そんな議論を自民党の中でしてましたっけ?」
「自民党の改憲草案にはこだわらない、っていうことは、党内の議論とは関係なく、自分の意見を党総裁として言っているんですか? ではあの改憲草案はどういう扱いになるんでしょうか? 改憲草案の議論をしてきた党内の皆さんに、どういう説明をされるおつもりですか?」
「具体的な議論を、っておっしゃいますけど、ソーリの発言も全然具体的じゃなくて…なんで今、自衛隊の憲法上の位置づけが必要なんですか? それも、2020年には新しい憲法でって、どういう意味があるんですか? 自衛隊とオリンピックと、どういう関係があるんですか?」
「多くの憲法学者が自衛隊は違憲だと言うから憲法改正すべき、ということですが、それじゃあソーリも実は自衛隊が憲法違反だと思っていた、ということなんですか??」
「高等教育無償化だって、憲法改正なしでできるという専門家もいますし、これはもともと民主党の政策で、当時は自民党として反対したはずですが、何で変わったんですか?」
「だいたい、ソーリはいつも公式の記者会見ではなくて、Y新聞やFテレビなど特定のメディアの単独会見でよくお話になりますけど、会見では言えないようなことなんですか?…ソーリ!」


「非戦非武装」を譲らない

 「よみがえれ あのときへ 武器を持たぬことを伝えた先人たちの声を 永遠(とわ)に語り継ぐのさ 脅かすことでしか 守ることが出来ないと 繰り返す戦争 忘れゆく 愚かな権力よ」—。「戦争」は「つみ」と読み、「権力」は「ちから」 と歌う。
 施行70年の憲法記念日。東京・有明で5万5000人が集まった「5・3憲法集会」のオープニングで、「HEIWAの鐘」を一緒に歌った。ざっと500人。
 「脅すことしかできない、愚かな権力」—世界の権力者たちがしがみついているのが、「武力による平和」の神話であることに、この曲の作者、まだ若い沖縄出身のミュージシャン、ユキヒロは、まっすぐ見抜いている。琉球王国だけではない。「非戦非武装」の日本国憲法もそれを宣言している。しかし、いまだに、トランプも、金正恩も、安倍晋三も、その愚かな神話に囚われている。
 「言葉」で米国を「挑発」する北朝鮮は、核実験を続け、ミサイル開発も進めている。「あらゆる選択肢がテーブルの上になる」とつぶやき、シリア攻撃で選択肢の一つを示唆し、空母攻撃群を日本海に入れ、日韓を巻き込んで危機を煽った。安倍首相は、これを「支持」し、ミサイル発射で東京メトロは全線をストップさせた。
 そして、憲法。99条の「遵守義務」などはそっちのけの安倍首相は1日、「新憲法制定議員同盟」(中曽根康弘会長)の大会に、現職首相として初めて出席、「憲法改正の機は熟した。求められているのは具体的な提案で、改憲か護憲かといった不毛な議論から卒業しなければならない」。3日の日本会議など集会にはビデオ・メッセージで、「9条に自衛隊を書き込む。2020年の施行目指す」と述べた。読売新聞は、3日付で同じことを言わせたインタビューで、露払いした。
  危機が深まれば深まるほど、9条の意義は高まる。朝日の調査では「憲法を変える必要は無い」が50%、「変える必要がある」は41%、9条については「変えない方が良い」が63%、「変えた方が良い」は29%、NHKの調査では、「憲法9条は日本の平和と安全に役立っているか」の問いに「役立っている」が8割超、共同の調査では、「日本が戦後海外で武力行使をしなかった理由」に75%が「9条の存在」を上げた。
 ペンス米副大統領が強調し、安倍首相も否定しなかった「武力による平和」は、「言論」とは相容れない。改憲派メディアは本当に戦争をするつもりなのか? 「HEIWAの鐘」は、いま、高校教科書にも取り上げられ、全国の若者の中に、拡がっている。


東北蔑視発言と沖縄差別

 復興相だった今村雅弘衆院議員が4月25日、所属する自民党二階派の会合で、東日本大震災の被害に触れる中で「25兆円という数字もある。これがまだ東北で、あっちの方だったから良かったけど、これがもっと首都圏に近かったりすると莫大な、甚大な被害があったと思っている」と発言した。死者、行方不明者と関連死を合わせて、2万人以上が犠牲になった地を指して「あっちの方」と呼び、「だから良かった」とは、問わず語りに東北蔑視を白状したに等しい。「ついうっかり」の失言ではない。本人に自覚はなさそうだが、根っからの差別意識がなければ出てこない言葉だ。更迭は当然だし、復興相どころか国会議員としての資質を欠いている。
 安倍晋三首相の動きはすばやく、発言を知るや菅義偉官房長官と協議し、即座に今村氏の更迭を決めたと報じられている。だが恐らくは、犠牲者や被災者に真に申し訳ない気持ちを抱いてのことではないだろう。今村氏は今回の発言の前にも、東京電力福島第1原発事故で自主避難した人たちについて「本人の問題」、つまりは自己責任であると言い放って批判を浴びたが、首相は任にとどめていた。今回は2度目の問題発言で、放置して批判が自らに向かってくることを恐れた。
 差別意識に根差す「〜でよかった」との発想は、東北に対してだけではない。安倍政権でもっとも強く表れているのは沖縄に対してだ。「米軍基地は沖縄で、あっちの方でよい」ということだ。今村氏の発言を安倍首相が謝罪した同じ日、この政権は米軍普天間飛行場の移転先と定める沖縄・辺野古で、埋め立て作業着手を強行した。沖縄県との話し合いの姿勢を持とうともしない。現地の抗議行動には本土の機動隊を投入して弾圧し、リーダーの身柄を微罪で長期間拘束するなど、強権ぶりに拍車が掛かる一方だ。だが、このあからさまな沖縄差別に対して、日本本土の世論が沸騰することはない。安倍首相が沖縄に謝罪することもないだろう。それでいいのか。


危機にさらされる「憲法くん」

 〈へんなうわさを耳にしたんですけど、ほんとうですか。わたしがリストラされるかもしれない、というはなし。わたし、憲法くんが、いなくなってもいい、ということなのでしょうか〉
 芸人の松元ヒロさんのひとり芝居「憲法くん」が初演から来月で20年を迎える。松元さんが、前文と103条の細胞からなる「憲法くん」という人物になりきって、成立の経緯やその意義、憲法とその他の法律の違いなどをやさしい言葉で解説する。
 コント集団「ザ・ニュースペーパー」時代の1997年、5月の憲法記念日にちなんだイベントで初披露した。一回限りのつもりだったが、作家の井上ひさしさんに「感動した」と絶賛され、翌年に独立した以後も、あちこちで上演を続けてきた。
 その間、護憲派と改憲派がせめぎ合ってきたが、「第二次安倍政権になって、これまでにない危機感を抱く」と松元さんは話す。その理由の一つが「共謀罪」だ。
 トランプ政権となった米国では今月、米軍がシリア・アサド政権の空軍基地を巡航ミサイルで攻撃。さらに北朝鮮への外交圧力を強めるなど軍事的緊張感が高まっている。それに呼応するように日本では、計画の段階で組織犯罪を処罰できる「共謀罪」の要件を改めた「テロ等準備罪」の創設を盛り込む組織犯罪処罰法改正案が国会で審議入りした。ジャーナリストの金平茂紀さんは4月に東京であった日本ペンクラブ主催の集会で「まだやっていないことが取り締まりの対象になる。内面の自由、プライバシーが脅かされるどころか(権力側に)際限のないフリーハンドを与える監視社会ができあがる」と指摘した。
 松元さんがふんした「憲法くん」は最後にこう語る。〈わたしをどうするかは、みなさんが決めることです。わたしは、みなさんのわたし、なんですから〉
 この国の未来を決めるのは主権者である市民であることを忘れてはならない。